釧路生コンクリート協同組合は、11月下旬に釧路市と「大規模災害時における消防用水等の確保に関する協定書」を交わす予定だ。釧路市内で大規模な火災や大地震、風水害が発生した場合に、コンクリートミキサー車を使って消防用水や生活用水などの搬送に協力する。伊勢茂夫理事長に経緯や協定締結に臨む決意を聞いた。
―協力のきっかけは。
2007年に災害支援でコンクリートミキサー車を活用できないかという話が一度挙がったが、翌年、官公庁の工事発注の激減に伴い生コンの出荷数量が大きく落ち込み、各社のコンクリートミキサー車の台数減や運送会社の廃業が起きたことで、話が凍結していた。
しかし、16年12月に発生した新潟県糸魚川市の大規模火災時では、地元業者がコンクリートミキサー車で消防用水を運搬し消火活動に貢献。道内でも自治体と生コン協同組合の協定締結が広がりつつあることから、災害時の協力を決めた。
―協力体制は。
当組合員は10社で構成し、釧路本部は5工場が稼働している。保有するコンクリートミキサー車は49台、搬送容量は1台当たり4m³で、全車両を総動員すれば一度に196m³の水を搬送できる。
工場には地下に貯水施設があり、供給体制を整えやすい。釧路市の要請を受けて、消火活動に伴う消防用水のほか、飲料水以外のトイレなどに使う生活用水の運搬などに協力する。また、プラントに砂や砂利があり、災害時には土のう袋に入れる砂の供給も考えている。
―協定を結ぶ決意を。
災害支援の一助を担うことで、地域に役立つ取り組みを進める。コンクリートミキサー車を使う支援体制の構築が、市民を守る円滑で迅速な活動につながるよう努めていきたい。(釧路)