おとなの養生訓

おとなの養生訓 第49回「熱中症」 真水にちょっとの塩を

2014年07月11日 17時11分

 夏が来ました。炎天下で仕事をしなければならない建設業界としては、非常に厳しいシーズンを迎えたともいえます。炎天下といえば、何と言っても熱中症対策が重要になります。熱中症とは、暑さのために、体に熱がこもってしまい、体温が上昇して、様々な症状を引き起こす状態を指します。手遅れになると、ショック状態となり、意識消失、けいれんなどを引き起こし、最悪の場合、死に至る非常に恐ろしい病気です。

 熱中症の初めの症状は、ごく軽いもので、それとは分かりにくいものです。よく見られるのが、体のだるさ、強い疲労感です。そのうち、頭がボーッとして集中力がなくなります。こめかみあたりに痛みを感じるのもこのころです。

 周りから見ると顔が真っ赤になっているのが分かります。この状態になると、実は熱中症としてはかなり進んだ状態で、体は完全に脱水状態になっています。このときに脈をとってみて、とても速いと感じたら、間違いありません。

 この時期を見過ごすと、強い吐き気が襲って吐いてしまったり、めまいが起きたりして、立っていることができなくなります。さらに進むと、体全体に寒気がするようになり、顔が逆に白くなってきます。これがショック状態に陥ったしるしで、遠からず意識を失うことになります。

 このように恐ろしい熱中症ですので、熱中症になったと気づいたら、水分補給、直射日光を避けて、涼しい場所で休んでください。そして、なるべく早めに病院へ行ってもらうのが一番だと思います。

 熱中症は、体に熱がこもると起こる病気なので、炎天下の戸外だけで起こるわけではありません。陽が差していない、風通しの悪い室内で熱中症になる人が、実はとても多いことが分かっています。そして、サウナに長く入っているのも、同じように危険な行為なのです。

 熱中症対策の肝要は予防です。熱中症が発症するきっかけは、暑さで汗をかきすぎて、水分が不足して、汗をかく量が減ってしまったときです。ですから、暑い日はあらかじめの「汗」の補給が必要なのです。つまり水分と塩分です。

 水分は清涼飲料水では補えません。緑茶やウーロン茶はおしっこの量を増やし、余計に水分を失う恐れがあります。真水にちょっとの塩、というのをこまめに繰り返すのが大事です。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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