おとなの養生訓

おとなの養生訓 第50回「熱帯夜」 体温下がらず寝付けず

2014年07月25日 14時21分

 ここ数年、北海道は暑い夏に見舞われています。今年も当初、天気予報は冷夏でしたが、最近、暑い夏になるという予報に訂正されてしまいました。昼のカンカン照りも困りものですが、それ以上に始末に悪いのが、熱帯夜の襲来です。

 熱帯夜とは、最低気温が25度以上になる夜のことで、とにかく暑くて、安眠が妨げられる夜のことです。北海道はめったに熱帯夜にはならないのですが、最低気温が20度以上の日はひと夏のうちに何回か確実にやってきます。

 昼間は耐えられるような室温の中でも、夜になるとなかなか寝付けなくなります。これは、夜の睡眠は体温の低下と関係しているからです。人の体温は1日の間に周期的に変動し、午後4時ごろに一番高い体温を示し、午前4時ごろに最低の体温となります。

 この変動は、体内の生物時計といわれる周期的リズムを作る神経と、その刺激によって分泌されるメラトニンというホルモンの作用によって決められています。そして、メラトニンは午後9時ごろから分泌が徐々に増えて、それによって次第に体温が下がって、この変化が眠気を導き、就寝するのです。

 つまり、夜に気温が下がらないと、そのために体温の下がりが鈍くなるので、なかなか寝付けないということになるのです。暑い夜に寝付くためには、体温がなるべく下がっていくような方策が必要になります。

 一つの方策は、ぬるめのお風呂にゆっくりつかることです。こうすると、気分が緩やかになることに加えて、湯上りにひと汗かいて体温が下がることが期待できます。これで、意外とすんなり眠りにつくことができます。熱いお風呂には興奮作用があるといわれ、体温も下がりにくいので逆効果です。

 体温を下げるもう一つの方法は、十分な水分補給をしてから寝付くことです。夜に体温を下げるためには、皮膚から水分を蒸発させて、これによって熱を放散する必要があります。必ずしも汗をかくのではないのですが、体温を下げるためにはそれ相当の水分が必要なのです。

 水分不足では、体温が下がりにくくなり、寝付けないことになるのです。ですから、体を水分不足にしてしまうアルコールは、やはり控えた方が賢明です。熱帯夜の寝酒は禁物ですね。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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