おとなの養生訓

おとなの養生訓 第53回「コーヒーの功罪」 気分転換できる一方…

2014年09月12日 13時21分

 飲みものを傍らにデスクワークという方が多いと思います。水分補給の目的だけでなく、飲みものに口をつけることで、気分転換がはかられて、そのあとの仕事への集中力が高まるという効果があります。

 そういう目的から来るのでしょうか、仕事のお供にコーヒーを選ぶ方が多いと思います。コーヒーにはいくつかの効用があります。まず、その香りです。コーヒーの芳香には、人をリラックスさせる作用があるとされています。

 また、一方で、コーヒーの芳香に脳を活性化させる効果の報告もあります。コーヒー豆の種類により効果の出方が違うようです。目的に合わせていろんなコーヒーを試してみるのもいい方法かもしれません。

 そして、飲むとコーヒーの主要な成分であるカフェインの作用が現れます。まず、脳に対して興奮作用を示すので、頭がすっきりして、集中力が高まります。

 筋肉の動きが高まり、スムーズに体が動くようになるとも言われ、その結果、疲労で硬くなっている筋肉をほぐすことができるといわれます。デスクワークで同じ姿勢を続けると、肩、首、腰が凝ってきますが、それをほぐす効果が期待できるのです。

 でも、コーヒーには利点ばかりあるのではありません。カフェインは血圧を上げる作用があります。血圧が高めの人は、やはりたくさんのコーヒーを飲むのは控えるべきでしょう。

 また、おしっこの量が増えるので、コーヒーを飲むと、頻回にトイレに行くことになります。なので、特に夏などは、水分のつもりでコーヒーを飲んでいるのに、却って脱水になってしまう恐れもあるのです。

 そして、もう一つ、カフェインは消化管を活発にする作用があり、これは飲むとすぐにでも表れてきます。もちろんこれは効用でもあるので、食後にコーヒーを飲むのは、消化吸収を促進するという意味でお勧めなわけです。

 でも、空腹でコーヒーを飲むと、コーヒーが胃の粘膜に直接作用して、胃液の分泌が高まってしまいます。空っぽの胃に胃液が出ると、粘膜を傷めてしまうことになります。痛みが出たり、吐き気が出たりしますし、もし、胃に胃炎や胃潰瘍があれば、それを悪化させてしまうのです。また、コーヒーを飲みすぎると、消化管の活発化の結果として下痢を引き起こすこともあります。

 コーヒーの効果を生かすためには、午前、午後に一杯ずつ程度にして、昼食前に飲むのは避けるのがいいのではないかと思います。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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