おとなの養生訓

おとなの養生訓 第55回「睡眠時間」 深い眠り、質こそが大事

2014年10月10日 15時55分

 みなさん、毎日、ぐっすり眠っているでしょうか?毎朝すっきりと起きることができるのなら、全く問題はありません。でも、たいていは「もっと眠っていたい」と思いながら床から這い出すことが多いかもしれません。では、睡眠をどのくらいの時間とればすっきりと目が覚めるのでしょうか?

 NHKの調査によると、中年の人たちが自分で考える理想の睡眠時間は、7時間半弱というところだそうです。でも、実際の睡眠時間は5時間半程度といいますので、現代の日本人は睡眠不足の傾向が強いといえます。

 しかし、この理想の睡眠時間というのは、人それぞれの感覚に基づいています。もっと、科学的な証拠による理想の睡眠時間はどのようなものでしょうか。最近の調査結果に基づいて考えてみます。その調査は、人に実際の睡眠時間を尋ねて、その人がその後6年間、生存しているかを、100万人以上に調査集計したアメリカの研究です。

 それによると、7時間睡眠をとる人の死亡率が、6時間以下の人や、8時間以上の人より低いという結果になります。つまり、理想の睡眠時間は7時間ということになります。自分で考えた理想の睡眠時間より、少し短いぐらいで十分だという訳です。

 でも、この調査で驚くことは、人の睡眠時間の幅の広さです。短い人は3時間と答えていますし、長い人は10時間以上と答えています。もちろん、そういう人たちの死亡率は7時間の人より高いのですが、それでも、7時間の人に比べて1.5倍に届きません。

 そうすると、人の理想の睡眠時間は、その人によって全く異なるということも言えるわけです。ある人は、9時間ぐらい眠らないと調子が悪いが、別な人は5時間眠ればじゅうぶんというわけです。

 つまり、睡眠は単純に時間だけの問題ではないということです。私はむしろ、睡眠は質が大事だと思っています。浅い眠りが続くのであれば、何時間眠ってもすっきりしないかもしれませんし、深い眠りができるのであれば5、6時間で十分だということです。そう考えると、日本人は睡眠不足であるという断定は早計かもしれません。

 休日にスッキリ起きられる睡眠時間を計ってみるのはいかがでしょう。長い時間眠るつもりで、途中でスッキリ目覚めたら、それが本当の理想の睡眠時間に違いありません。自分の睡眠時間を知ることこそ、長生きへの第一歩です。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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