おとなの養生訓

おとなの養生訓 第70回「スモーキー」 燻製の風味のこと表現

2015年05月22日 15時06分

 某テレビドラマの影響で、ウイスキーブームだとか。ウイスキーを楽しむ人が増えて、学生時代からのウイスキーファンの私は、わが意を得たりとしたり顔です。

 ウイスキーを語るのに、最近は「スモーキーフレーバー」という言葉が頻繁に使われるようになりました。スモーキーフレーバーはいくつかの銘柄に特徴的な風味でありますが、すべてのウイスキーにスモーキーフレーバーがあるわけではありません。

 でも、そのテレビドラマでは、初めてウイスキーを飲む日本人が、「煙臭い」といって吐き出すシーンがしばしば。ちょっとやり過ぎじゃないか!と思ったりしました。はたして日本人にはスモーキーフレーバーが合わないのでしょうか?答えは「ノー」です。

 スモーキーフレーバーは、なにもウイスキーだけのものではありません。なんのことはない、つまり燻製の風味のことなのです。いうまでもなく燻製は食べ物を煙でいぶして作るものです。ですから燻製の風味を欧米ではスモーキーと表現するのです。ハム、ソーセージ、ベーコンなどみんなスモーキーです。

 燻製なら日本人だって好きです。炉端につるした魚の干物、そう秋田には「いぶりがっこ」というたくあんの燻製もあります。だいたい、木炭で魚の塩焼きをすれば、ほのかに煙臭さを感じるものです。それはいやなものではありませんよね。

 大昔の人間はたき火を囲んで、魚や肉を焼いて食べるのが、ごく当たり前だったのですから、たき火の煙を浴びながら食事をしていたわけです。煙が嫌いなわけはないのです。

 では、ウイスキーで問題になっている風味の正体は何でしょうか?それはピートそのもののにおいです。ピートとは泥炭のことで、ウイスキーの原料である大麦を発芽させて、発酵の前に大麦の成長を止めるために火入れをするときに使います。それで煙と共にピートそのもののにおい、ずばり石炭のようなにおいが麦に移るのです。

 このピートのにおいは長い熟成を経て、様々に変化してウイスキーに微妙なニュアンスを与えます。そのなかにスモーキーフレーバーと呼ばれる風味が生まれるのですが、ずばり石炭!といいたくなるようなお酒も存在します。つまりスモーキーフレーバーも一様ではないのです。

 スモーキーフレーバーを持つウイスキーは燻製とよく合います。一番は、もちろんスモークサーモン。道理でうまいはずだ!

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

  • 東宏
  • 川崎建設
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (3,193)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,510)
ヒトデ由来成分でカラス対策 建設業界に鳥類忌避塗料...
2019年06月28日 (1,399)
交通体系整備を考える会、札幌外周高速道を構想
2023年06月20日 (1,380)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,350)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。