美幌町森林組合(観野寿雄組合長)は、カラマツの住宅用建材生産を本格化させる。含水率を下げ、材のねじれを抑えるコアドライ製法を採用し、増産に向け乾燥機を新たに2基導入。高い強度や無垢(むく)材特有の美しさなどをPRし、地元を中心にFSC認証材の利用拡大を図る考えだ。
同組合の主力は集成材用のカラマツ原板(ラミナ)で、東北の集成材工場などに出荷。FSC認証の取得も同組合が主体となって推進し、認証材の生産にも取り組んできたが、住宅用構造材については下川町にある工場に集成材加工を依頼するしかなく、町内での製造が課題となっていた。
カラマツはやにが多く、経年によるねじれが生じやすいため建材には不向きとされてきたが、道立総合研究機構林産試験場が開発したコアドライ製法を導入することで問題を解決。120度で1次乾燥を28時間、80―90度で2次乾燥を360時間施し、含水率を11%以下まで下げた後に成形加工することで変状を抑制する技術だ。
2016年9月に道内で2番目、オホーツク管内では初となる生産事業者認定を受け、既に町内住宅2棟に納入した。同組合の小野功参事は「カラマツはスギに比べて強度が高く、曲りにも強い」と話し、継ぎ目のない木目の美しさや接着材を用いず化学物質が含まれていないといったメリットも挙げる。
コアドライの乾燥処理で長時間乾燥機が占有されてしまうことから、林野庁の補助金を活用して組合敷地内に乾燥機2基を導入。新柴設備(旭川)が11月30日までに完成させる予定で、18年度には戸建て30棟分の生産を目指す。
優良な特徴を備える一方、生産量が少なく、乾燥中には木口割れも発生し歩留まりも高くないため、集成材や輸入材より割高になるのが課題。美幌町は町産認証材の住宅利用に補助を出しているが、コアドライの補助割合を集成材より高くする措置で支援しているほか、同組合は割れ材の家具転用など木材のロスを低減する方策を模索する。
高度成長期に集中的に造林されたカラマツ林は現在伐期を迎えているものの、それ以降、新規造林はあまり行われてこなかったため、将来的には伐採量の縮小も予測される。小野参事は「伐採量を抑えるには付加価値の高い製品が必要。町を中心に普及させ、道内外にも魅力を伝えたい」と林業持続の鍵として期待を掛けている。