よくお酒に含まれるエネルギー量、いわゆる「カロリー」を気にする人も多いようです。今は、お酒のラベルに「○○kcal」などと表示して、消費者の便を図っています。この表示にはアルコール自体のエネルギー量が含まれています。でも、アルコールは体でエネルギー源にはならないし、脂肪や糖分に変わって蓄積されることがないと考えられるので、摂取カロリーとしては勘定しなくてよいのです。
ですから、お酒は表示されたものより「カロリーオフ」だといえるのです。では、カロリーを気にせずにお酒が飲めるのかというと、そうはいきません。お酒には少なからず糖分が含まれているからです。
誤って清酒をテーブルにこぼしてしまうと、そこがべた付きます。これは糖分が含まれているせいです。もともと、お酒は、穀物や果物など糖分が豊富に含まれているものを発酵させて作るわけですから、必然的に糖分が含まれる可能性があるわけです。
実際に、清酒、ビール、ワインにはかなりの糖分が含まれています。同じアルコール量にそろえた場合に、一番糖分が含まれているのは発泡酒であることが分かっています。中ジョッキ一杯で12.6g。ご飯一杯に含まれる糖分が約60gなので、そこそこの量であることが分かります。
以下、順にビールで11g、清酒が1合で8g、ロゼワインがグラス一杯で2.4gの順になります。辛口のワインに糖分は少なくなります。とくに、人気の発泡酒が多いことが気になりますね。一方、蒸留酒は、蒸留の過程で糖分が抜けてしまうので、糖分が含まれていません。焼酎、ウイスキーなどです。
もちろん、お酒に含まれている糖分は、他の食品に比べれば、少ないものです。でも、たくさん飲めば、やはりカロリーオーバーの危険性があります。ましてや、糖分が多い甘いお酒やコーラ、ジュースなどでつくるカクテルは、かなり危険。おつまみの量も気になるところです。
という訳で、体重やカロリーが気になる方は、ビールは初めの一杯にとどめて、すぐに焼酎に移行するのがいいでしょう。二次会ではカクテルはやめにして、ウイスキーの水割りに徹する手もあります。もちろん、締めのラーメンは諦めてくださいね。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)