おとなの養生訓

おとなの養生訓 第79回「入浴剤」 体を温めて緊張ほぐす

2015年11月13日 09時32分

 寒い季節になりました。帰宅すると、まずはお風呂に浸かって温まるのが、一番です。こうした時に、ただのお湯に浸かるのではなく、入浴剤を入れて楽しむ人も多いものです。入浴剤は色や香りだけでなく、実際に体をより温める効果を示す成分が色々と配合されています。代表的な成分は、炭酸、硫黄分、塩類などです。

 炭酸はお湯に溶かすと二酸化炭素を生じます。小さな泡がたくさん出てきますが、これが二酸化炭素です。二酸化炭素は皮膚にしみこみ、皮膚の下の血管を開きます。こうして全身の皮膚の血行が良くなり、お湯の温かさと相まって、体を温める効果が生まれ、体がポカポカしてきます。ただ、二酸化炭素は体から抜けるのも速いので、お風呂上がりには急速に冷めてくる可能性があります。湯冷めに注意しなければなりません。

 硫黄分を含む入浴剤もあります。これは特有のにおい(硫黄臭)がするので、すぐ分かります。硫黄も皮膚から吸収されて、皮下の血管を拡張する作用を持ちます。硫黄は二酸化炭素と比べて、体から抜けにくいので、湯上がりに温かさが持続する傾向があります。弱い硫黄臭は温泉の気分がするので、これも効果があるのかもしれません。

 塩類、特にナトリウムは皮膚表面のたんぱく質と結び付いて薄い膜を形成することが分かっています。この膜に保温効果があり、湯上がり後、数時間か一日程度は、膜がそのまま保持されるので、湯上がり後に、しばらく、体のポカポカが持続します。温泉に入ったあとに、体の温かさが持続するのも同じ仕組みと考えられます。だから、最近はやりの塩サウナも、体を温めるのに効果があり、汗がよりたくさん出るという訳なのです。

 また、入浴剤に入っている芳香剤の香り(アロマ)も効果があります。寒さにさらされた体は、どうしても力が入ってしまいがち。全身の筋肉は緊張を強いられて、硬くなっています。温かいお湯に浸かりながら、アロマをかいでいると、精神的なリラックスが得られて、自然と筋肉の緊張が取れて、体がほぐれてきます。

 寒い夜は、入浴剤を入れたお風呂にゆっくり浸かるのが、一日の疲れを癒やし、充分な睡眠を取るために最適といえます。お試しください。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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