おとなの養生訓

おとなの養生訓 第85回「糖化」 体の中でも起こるが…

2016年02月26日 09時17分

 こんがり焼けたトースト、きつね色に揚げたカツ、炊き立てごはんのおこげ、と挙げてみると、どれもおいしそうですね。これらをおいしそうに感じる理由の一つは、焼き色にあります。食べ物に熱をかけると、色が変わってきつね色になります。これをおこげと呼んだりします。

 では、おこげの正体は何でしょうか?これは食品に含まれているタンパク質と糖質が熱によって結合し、新たな化合物を作り出していて、これがきつね色を発するからなのです。これをメイラード反応といいます。そして、タンパク質と糖質が結合することを糖化と呼びます。

 実は糖化現象は、常温でも起こります。たとえば、お味噌の色は、原料である大豆の色とは似ても似つかない茶色を基調とした色ですが、これは醸造中に時間をかけて引き起こされる糖化現象によってついた色なのです。

 最近、糖化現象が人の体の中で起こることが明らかになりました。たとえば、皮膚の色が年を取るにつれて黒ずんでくるのは、糖化現象であると指摘されています。また、加齢に伴い骨がもろくなってくる骨粗しょう症では、骨の中で糖化現象が少しずつ進んで、それによって骨の硬さが失われていくためだという考え方があります。

 そして、血管の老化現象である動脈硬化は、血液中の糖質と血管のタンパク質の間で引き起こされる糖化現象であると考えられるようになりました。血液中の糖質というと、糖尿病を思いつく方も多いと思います。糖尿病では動脈硬化が進行し、それによって脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病、壊疽などの深刻な合併症が引き起こされます。ですから、糖尿病では、合併症を引き起こす動脈硬化の進行を防ぐ必要があるのです。

 糖尿病では血液中の糖質が多くなっているわけですから、血管での糖化現象が起こりやすくなっていると考えられます。だから、動脈硬化が進行するのだと説明できるのです。糖化現象を防ぐには血液中の糖質を減らす、つまり血糖を下げることが絶対に必要なのです。

 食べ物の糖化は、食べ物をおいしくするという効用があるのですが、体の中の糖化はろくなものではないという訳です。体の糖化を防ぐには、食べ過ぎに注意して、運動を行って糖質を積極的に消費することが必要なのです。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

web企画
  • 東宏
  • オノデラ
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

札幌駅前に新タワービル JR北海道が不動産事業を強化
2019年04月10日 (4,262)
札幌市民ホール 愛称は「カナモトホール」
2019年02月15日 (2,577)
新幹線札樽トンネル、今秋から立坑掘削 札幌で工事開始
2019年04月22日 (2,413)
札幌・北4西3街区再開発 5月にも準備組合発足
2019年03月28日 (2,196)
札幌・北3東11周辺再開発 22年春全面開業へ
2019年04月16日 (1,836)

連載・特集

連載 おとなの養生訓 new

おとなの養生訓
第158回は「サウナと二日酔い」。酔いを醒ます効果はなく、逆に心筋梗塞などを引き起こす危険があります。

連載 北海道遺産

北海道遺産
開拓や経済・生活の発展に貢献した6件を紹介します。