おとなの養生訓

おとなの養生訓 第88回「中途覚醒」 寝酒は睡眠の質を低下

2016年04月08日 11時45分

 夜、眠りについて目が覚めると、まだあたりが暗く、時計を見ると、まだ真夜中だった、という経験はおありでしょうか。大抵は、そのまま床の中でじっとしていれば、再び眠りにつくのですが、度々となると気になるところです。この現象を中途覚醒といいます。中途覚醒は不眠症、うつ病、睡眠時無呼吸症候群などの病気と関連があり、注目されている症状なのですが、一方で、誰にでも起こっているごくありふれた現象でもあるのです。

 睡眠研究の統計によると、健常な人でも平均して一晩に1.5回は中途覚醒が起こることが分かっています。子供の頃は、さらに少なく、平均で1回未満ですが、中高年では2回ぐらいと見積もられています。

 健康な時の中途覚醒は、再び眠るまでの時間が短くて、瞬間の場合もあり、本人も起きたことを忘れてしまうほどです。ですから、若い時は起きなかったのに、最近はよく目が覚める、といって気にされているベテランビジネスマンのお話をよく伺います。

 しかし、中途覚醒からなかなか寝付けないのでなければ、気に病む必要はないと考えます。人は数日徹夜を続けてもそれだけでは病気にならないことが実証されていますので、安心してください。

 ただ、夜ごと中途覚醒がある人は、お酒が原因である危険性が高くなります。とくに、寝酒と称して、お酒を飲まないと寝付けないと信じて(?)いる人です。

 確かにお酒を飲むと、アルコールの麻酔作用(催眠効果)によって、寝つきがよくなります。しかし、飲酒後の睡眠は、アルコールやその代謝物であるアセトアルデヒドなどの影響で、睡眠が深くなりにくく、浅い眠りが続くことが分かっています。

 ですから、就寝後1、2時間で中途覚醒となってしまうことが多いのです。その際、アルコールの影響が残っていると、再び眠るまでの時間が長くなることも指摘されています。つまり、アルコールは睡眠の質を低下させるということです。

 ですので、寝酒はあまり推奨できません。飲み終わってから1、2時間たってから就寝する方が、結果的にはよい眠りになります。まあ、あまり深酒するなということですが、とくに、眠る前にぐっと一杯飲むというのは、やめていただくのが賢明です。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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