おとなの養生訓

おとなの養生訓 第96回「魚とカルシウム」 切り身や刺身に少なく

2016年08月26日 11時54分

 昔に比べるとそれなりに豊かになった日本人は、栄養不足となる危険性は非常に低くなりました。実際に厚生労働省の調査によると、日本人は炭水化物やたんぱく質などほとんどの栄養素は、1日の必要量を十分に摂取していることが明らかにされています。ところが、ここ数十年にわたって、必要量に達していない栄養素があります。それはカルシウムです。

 ご存じのようにカルシウムは、骨を作るために必要不可欠な栄養素です。ところが、日本人は、必要量の90%程度しか摂取しておらず、これがいつまでたっても改善しない状況が続いているのです。

 もちろん、これくらいの不足で、すぐに骨の発育が悪くなるとか、骨が折れやすくなるという訳ではないのですが、カルシウム不足が長く続いていると、老後に骨がもろくなる骨粗しょう症という病気になる危険性が高くなるという指摘もあります。やはり、カルシウム不足は解消されるべきなのです。

 日本人のカルシウム不足の原因として、魚の消費量が減っていることが挙げられます。確かに、魚はカルシウムが多く含まれています。しかし、魚の消費量は減っているのですが、ここ20年ぐらいで明らかになってきたことで、その量自体もそんなに減ってはいないのです。カルシウム不足はそれより前から指摘されていたわけで、カルシウム不足の原因は魚離れであると単純には言えないのです。

 私は魚の量自体より、魚の種類に問題があるではないかと考えています。食材としての魚を調べると、含まれているカルシウムの量に大きな差があることが分かります。カルシウムが豊富な魚としては、イワシ、アジ、カレイ、サンマが挙げられます。一方、カルシウムが少ない魚としては、カツオ、サバ、マグロ、ブリが挙げられます。

 食材として考えると、カルシウム豊富な魚は、骨ごと食べたり、小骨が多かったりする魚で、丸ごと焼いたり煮たりして食べる魚です。一方、少ない方の魚は、切り身とか刺身にして、身の部分だけ食べる魚であることに気が付きます。

 日本人は魚を食べなくなったのですが、とりわけ、カルシウム豊富な安い魚を食べなくなり、贅沢でカルシウムが少ない魚の刺身や握りずしばかり食べるようになったことが、問題のような気がします。安い魚を丸ごと食べることを意識して、カルシウム不足を解消しましょう!

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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