おとなの養生訓

おとなの養生訓 第103回「和らぎ水」 二日酔い抑え翌朝楽に

2016年12月28日 16時51分

 日本酒の品ぞろえにこだわりがある居酒屋で、大吟醸の冷酒を頼みます。なみなみと冷酒が注がれたグラスと一緒に、お水が入ったグラスが運ばれてきます。これを和らぎ水と呼ぶのだそうです。当然ながらただの水道水ではなく、ミネラルウォーターがお勧めです。

 お酒を一口、二口飲んだあとに軽く水を飲むと、口の中が洗われて、次のお酒がまた新鮮な味わいになります。また、お酒を飲んだ直後に水を口に含むと、お酒の香りが口いっぱいに広がります。つまり、洋酒でいうところのチェイサーなのですが、日本酒の新しい飲み方として、急速に広まっています。

 水割りにしないで、お酒とお水を別々に口にするところがミソです。和らぎ水をはさむことで、お酒を飲むペースがゆっくりになるので、酔いのまわりを遅くすることができることも、メリットの一つでしょう。和らぎ水で日本酒をゆったりと味わうのは、結構、絵になるかもしれませんね。

 先に述べたように、お水には日本酒の香りを引き出す作用があります。そこで、最近は割り水燗という飲み方も広まっています。日本酒に1ないし2割程度の水を入れてからお燗する方法です。口当たりが柔らかくなり、香りも引き立ちます。

 他のお酒でも同様の効果が認められます。ウイスキーに数滴の水を垂らすと、香りが立ってきます。ウイスキーと水を1対1で割るトゥワイスアップという飲み方にすると、ウイスキーの味は弱くなりますが、少し口に含んだ時にウイスキーの香りが風味となって口から鼻に広がります。他の例では、イモや麦の焼酎にお湯で割ると、イモや麦の香りが一段と広がります。

 でも、日本酒と水を一緒に飲むのは、昔から一部の愛飲家の間では行われていました。「命の水」と言ったりして。冷酒だけでなく、熱燗でもお水を一緒に飲んでいました。こうすると、翌朝が楽になるというのがその理由でした。

 アルコールにはおしっこの量を増やす作用があります。お酒を飲む時に、水分補給をしないと体が脱水状態になり、これが二日酔いの主な原因になるからです。昔は体のために飲まれていたお水ですが、和らぎ水とおしゃれに名づけられて、スマートに使われるようになったのです。日本酒好きのあなた、和らぎ水は必須アイテムです。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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