おとなの養生訓

おとなの養生訓 第113回「アニサキス」 流通機構の発達で流行

2017年05月26日 11時53分

 昔の話です。私が本州の研究所に在籍していた時の友人の災難話です。とあるおすし屋さんに行って、おいしいネタを存分に味わって、ご帰宅。その夜中に突然の激しい腹痛。胃がキリキリと痛み、脂汗が噴き出たそうです。そのまま救急車で病院に。

 緊急の胃内視鏡で原因は取り除かれて、うそのように痛みは治まったそうです。原因はアニサキスという小さな魚の寄生虫でした。おすしで寄生虫に襲われた原因は、イカの握りずしでした。生のイカを細切りにせず、刺身のように大きく切って握ったものでした。

 この話を聞いて、北海道出身の私としては、どうしてそんなすしが出てきたのか不思議でたまりませんでした。イカにアニサキスがいるのはほぼ当たり前で、生で食べるときは丁寧に内臓を処理したうえで、いわゆるイカソーメンの状態に細切りにして、アニサキスを退治しておかないと激しい胃の痛みに襲われる危険性が高いからです。

 アニサキスはイカやサバ、サンマ、ニシン、アジなどの魚にふつうに住んでいる寄生虫です。熱や冷凍により死んでしまうのですが、冷凍せず生のままで調理すると体に入ってしまいます。アニサキスは胃に入ると胃酸を嫌って胃の壁に刺さって潜り込もうとします。これが刺激になって胃で激しいけいれんが起こり、激痛やおう吐に苦しむことになります。これをアニサキス症と呼びます。

 最近、アニサキス症の被害がマスコミをにぎわしています。有名タレントの何人かも被害をこうむったようです。アニサキス症は昔から知られているのに、なぜ最近急に流行り(?)出したのでしょうか?それは、日本人がグルメになったせいかもしれません。

 最近のアニサキス症の原因はイカではなく、サバやサンマだそうです。昔ならとても刺身にはできないものでしたが、流通機構の発達で、冷凍せずに漁港から生きのいいサバやサンマが消費地に急送できるので、新鮮だからと、刺身にして食べてしまうのです。

 でもいくら新鮮でも、アニサキスはいます。サバやサンマを刺身として食べるときは、一旦冷凍してから解凍したものにするべきです。解凍したのはおいしくないって?いいえ、決してそんなことはありません。解凍したサンマの刺身、本当にうまいですから。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 北海道水替事業協同組合
  • オノデラ
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

みずほ銀が函館支店を閉鎖へ 札幌支店と統合
2022年05月09日 (14,018)
国道276号千歳市美笛で岩盤崩壊、通行止め
2022年04月20日 (12,319)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (3,162)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (2,578)
旭川東神楽道路新設5.5km完成 旭川建管
2022年03月28日 (2,327)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓 new

おとなの養生訓
第231回「運動不足の危険性」。将来の死亡リスクが高まります。運動を習慣化するよう心掛けを。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第20回「いつもの小掃除」。一人一人に合った方法を見つけるのがストレスフリーな掃除の第一歩です。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第19回「気になる販売員の対応」会社や商品を愛している従業員による接客で、顧客満足度の向上を。

連載 掘削が拓く未来
日本初の専門学校

掘削が拓く未来 日本初の専門学校
白糠町内の同校で指導に当たる3人の講師の意気込みを紹介する。