国土交通省北海道局は22日、2018年度予算案の北海道開発予算を公表した。一般公共事業費に当たる北海道開発事業費は、国費ベースで前年度当初を83億5300万円、1.6%上回る5446億8700万円を計上した。TPP・EPA対策を受けた農業農村整備や、新千歳空港の国際線旅客数増加で受け入れ機能強化を図る空港、民族共生象徴空間の整備が本格化した国営公園が伸びた。このほか17年度予算から創設した当初予算ゼロ国債には267億7000万円を設定した。
農業整備、新千歳強化など推進
要求に当たって北海道局は「食料供給基地としての持続的発展」「『観光先進国』実現をリードする世界水準の観光地の形成」「強靱(きょうじん)な国土づくりと安全・安心な社会基盤の形成」の3項目を重点事項に位置付けた。
事業別に見ると、道路は、道路整備と道路環境整備合わせて0.5%増の2178億3400万円を確保。冬季災害に備えた代替性確保で高規格幹線道路整備を推進するほか、20年度に開設される白老町の民族共生象徴空間に合わせた国道36号白老拡幅、釧路外環状道路の釧路東―釧路別保間の18年度完成に向けた最終整備、インバウンド増加が期待される国道5号倶知安余市道路などに取り組む。
治水は0.5%減の876億400万円。石狩川、十勝川、天塩川などで激甚化・多様化する災害に備えるため河川改修を推進。石狩川流域では19年度の完成を目指して千歳川遊水地群の工事進展を進める。直轄ダムは幾春別川総合開発、沙流川総合開発、サンルダムの整備推進と新規の雨竜川ダム再生事業を合わせて17年度当初比2.5%増の195億4200万円を充てた。雨竜川は北海道の直轄ダム事業としては約27年ぶりの新規事業となる。昨年の災害を受けて取り組む北海道緊急治水対策プロジェクトの推進予算も確保した。
農業農村整備は、4.5%増の766億7800万円で全国の4.1%を上回った。TPP・EPA関連で農業の生産性向上を図るための予算を手厚く配分。農地大区画化や暗渠、農業水利施設の保全・更新などに取り組む。
空港は48.3%増の159億3100万円。インバウンドの受け入れ強化に向けた新千歳空港で、国際線のエプロン改良や南側誘導路新設などの整備進展を図る。 国営公園等は、59%増の24億8900万円を計上。民族共生象徴空間で、国立民族共生公園の造成本格化などへの対応で大きく伸びた。
道や市町村向けの交付金は、社会資本整備総合交付金が0.3%減の352億6900万円。一方、防災・安全交付金については、九州北部豪雨を踏まえ中小河川の緊急治水対策などへの対応で、0.4%増の381億2600万円となった。
このほか、公共工事の施工時期平準化の取り組みを強化するため、17年度予算から設定している当初予算ゼロ国債は、267億7000万円を計上。内訳は道路が184億4500万円、道路環境が36億1100万円、治水が33億1400万円、治山が4000万円、農業農村6億6000万円、水産基盤7億円となっている。
また、建設現場や除雪現場ではi―Constructionを推進し、生産性の向上と建設産業の担い手確保を図る。