建築に使われる配管や空調部材の価格が上昇している。為替相場の円安で樹脂や鋼材など原材料コストが高騰しているため。メーカーや商品によって値上げ率は異なるが、鋼管は10―20%程度、塩ビ管は15%以上アップしている。販売を担う資機材商社も適正な価格転嫁に向け、情報を取引先へ広く周知するなど対応に追われている。
鋼管では、塩ビライニング鋼管が春先以降、現行価格から10―20%値上がりしている。さらに10月は、新日鉄住金が鋼管の仕切り単価を4%程度値上げした。SUパイプなどステンレス鋼管も8%前後値上がりしている。
塩ビ管や継ぎ手も軒並み値上がり傾向にある。業界では4月の信越ポリマーをはじめ、積水化学工業や旭有機材、クボタケミックス(本社・大阪)、アロン化成(同・東京)と価格改定が続いた。
配管継ぎ手の価格も上昇傾向が続いている。イノック(本社・大阪)は11月にステンレス製管フランジの定価を25%以上値上げし、12月にはステンレス製バルブやねじ込み管継ぎ手の定価も10%以上改定した。古林工業(同)や日立金属も年明け以降の値上げを予定している。
機器類の価格も値上がりしている。TOTOは4月に衛生陶器の定価を平均10%アップした。サンダイヤ(本社・東京)は9月注文分からオイルタンク小売価格を改定。荏原製作所も一部ポンプ価格を値上げしている。
どの部材もおおむね円安によるコスト上昇が要因。樹脂製品は原料のナフサ、鋼材は鉄鉱石の価格上昇が値上がりの原因となっている。昨今の人手不足から、物流会社の配送費が見直し傾向にあるのも要因だ。
管やバルブなどを扱う札商管材公社(本社・札幌)の中村弘社長は「2017年度は4月から各資機材の値上げが収まらず、転嫁に苦慮している」と厳しい実情を明かす。
業界では、雪解け後の本格的な工事発注に向け、ゼネコンや発注機関に対し価格動向を周知している。中村社長は「的確な情報が伝わり、実勢価格に見合った受注環境になれば」と話している。