新春対談 高橋はるみ知事 荒木正芳本社社長

2018年01月01日 08時00分

北海道を未来につなぐ
 命名150年の節目、強靱化推進

 高橋はるみ知事は、本社の荒木正芳社長と対談し、昨年を振り返るとともに新年の抱負を語った。2016、17年に引き続き大雨災害の復旧に全力を注ぐとともに、強靱(きょうじん)な国土づくりで安心して暮らせる社会形成を決意。交通政策ではJR在来線鉄道の問題で議論を深めていくほか、時代の変化に的確に対応する交通ネットワークを戦略的に実現していく考え。特に、道内7空港の一括民間委託については本道活性化の道を切り開く取り組みとして期待した。北海道命名150年の節目を迎える本年を、本道の魅力をあらためて感じ、将来を担う若い世代の記憶に残る1年にしたいと意気込みを示した。

荒木 17年は、前年に発生した大雨災害からの復旧工事が本格化した年でした。復旧状況をお聞かせください。

知事 本道では、16年8月から9月にかけて、4つの台風が次々と上陸・接近するという観測史上例のない事態が発生し、全道各地で記録的な豪雨となり、近年、他に類を見ない大災害となりました。

 災害復旧の進捗(しんちょく)状況ですが、道が所管する工事788カ所のうち、工事完了または着手済みは昨年10月末現在で合計603カ所であり、全体の約7割となっているところです。このうち、特に被害が集中した十勝管内においては、技術者・技能労働者らの人員や、コンクリートブロックなどの資機材の不足により、一部の工事に遅れが生じている状況です。

 これまでも、資機材確保のための関係機関との調整や入札参加要件の拡大など、さまざまな手だてを講じてきておりますが、今後もこれらの取り組みをさらに進めて、一日も早い復旧に向け全力で取り組んでまいります。

荒木 災害を教訓に今後どのように本道の強靱化を進めますか。

知事 16年の記録的な大雨災害に加え、過去には、南西沖地震や有珠山の噴火、暴風雪による被害など本道はさまざまな自然災害を経験しています。また、積雪・寒冷の地であり四方を海に囲まれ、9つの常時観測火山があるなど、北海道特有の自然災害リスクもあります。

 こうした自然災害リスクから道民皆さんの生命、財産を守るとともに、本道の持つ強みを生かし国全体の強靱化にも貢献するため、道では全国に先駆けて「北海道強靱化計画」を15年3月に策定し、北海道の国土強靱化に向けたハード・ソフト一体となった取り組みを進めているところです。

 今後とも、これまでの災害を教訓にして、〝まさか〟への備えと強靱なまちづくりを進め、皆さんが安心して暮らせる北海道づくりに取り組んでまいります。

「北海道命名150年」という節目を迎え、本道のさらなる飛躍を期待する高橋知事(左)

■空港民間委託で活性化

荒木 さまざまな課題を抱える本道の交通ネットワークですが、今後どのような交通政策を進める考えですか。

知事 本道の交通を取り巻く環境は大きく変化してきており、特にJR北海道の事業範囲の見直しに関しては、JRの持続的な経営構造の確立に向け、国に対し実効ある支援を重ねて求めるとともに、将来を見据えた最適な公共交通ネットワークの在り方について議論が深められるよう、道が有するさまざまな情報を提供しながら、地域における検討・協議に積極的に関わっています。

 一方、北海道新幹線の開業やインバウンドの急増、道内7空港運営の一括民間委託といった好機を生かし、北海道の確かな発展につなげていくためには、30年ごろの北海道を見据え、時代の変化に的確に対応する総合的な交通ネットワークを戦略的に実現していくことが重要です。交通環境が変化する中、道では現在、総合的な交通政策の基本的な考え方を示す新たな指針づくりを全道的な観点から進めているところです。

 新たな指針の策定に当たっては、グローバル化を見据えたネットワークの充実強化や人口減少に対応した持続可能な地域交通の確保、さらには、災害に強い交通・物流ネットワークの実現などに向け、人流・物流の双方の視点から、一体的に政策を展開していく必要があると考えています。

荒木 道内7空港の一括民間委託では、いよいよ運営権者の選定に向かいます。民営化への期待をお聞かせください。

知事 道内7空港の運営の一括民間委託により、道内各空港の機能や航空ネットワークが充実強化され、広域観光周遊ルートの形成などによる国内外からの来訪客のさらなる拡大、食分野における新しい市場の拡大につながる「空の大航海時代」に向かおうとしています。

 本道が目指す道内7空港の運営の一括民間委託は、単に民間ノウハウを活用した空港経営の効率化のみに着目した取り組みではなく、空港の一体的な運営と航空ネットワークの活用による人流、物流への相乗効果で新たな本道の活性化の道を切り開く取り組みです。

 そのために、国内はもとより、多くの海外からのお客さまにも広大な北海道のさまざまな地域を訪れていただけるよう、また、海外に向けた物の流れを太くできるよう、空港運営の一括民間委託を通じて3つの変革の実現を期待しています。

 まず、1つ目は、本道の観光・文化などの情報発信力を高めつつ、利用者が望むことに何でも対応できる空港の多機能化、高度化です。2つ目は、国内外からの来訪客も道民も鉄道やバスと同じように気軽に道内外を高速移動できる航空ネットワークの充実強化です。そして3つ目は、本道や東北地方の質の高い産品を集めて海外への輸出を増やす物流機能の拡大です。

 運営権者には本道の観光戦略や物流戦略の一翼を担い、地元の関係者と一体的に取り組んでいただきたいと考えています。

荒木 北方領土問題では、共同経済活動を通じて一日も早い領土問題解決と平和条約締結に期待が集まっています。

知事 北方四島における共同経済活動は、日ロ双方の信頼関係の醸成に資するものであり、領土返還、平和条約の締結に向けた、重要な一歩となり得ると考えています。

 今後も政府間の協議の進捗を注視し、隣接地域等の意見をうかがいながら、国に対し必要な要請を行うなど、共同経済活動の推進を図るとともに、返還要求運動の充実・拡大により、一層の国民世論の喚起を図るなど、領土返還の実現に粘り強く取り組んでまいります。

■建設産業の発展を支援

荒木 道内の建設産業の多くは中小企業のため経営基盤が弱く、これに加えて担い手確保や技術継承の問題が深刻化しています。建設産業存続に向けての考えや対応をお聞かせください。

知事 道では「北海道建設産業支援プラン2013」に基づき、担い手の確保・育成などへの支援に取り組んでいますが、現状では、建設業就業者の減少が止まらず、建設産業を支える技術・技能の承継が難しくなっているほか、局地的な集中豪雨が相次いで発生するなど、これまでにも増して地域の安全・安心の確保が重要となっています。引き続き建設産業の持続的発展のため、人材の確保・育成、経営力や生産性の向上などを図る必要があり、18年度以降の新たなプラン「仮称・北海道建設産業支援プラン2018」を年度内に策定することとしています。

 新たなプランにおいては、「地域の安全・安心に欠かせない建設産業の持続的発展」を基本方針として掲げ、「技術をつなぐ担い手確保・育成の強化」や「将来に続く経営力の強化」などの4つの目標を設定しています。

 今後、こうした目標の達成に向け、「担い手確保・育成の強化」として、週休2日の導入などによる就業環境の改善や、「建設産業ふれあい展」開催などによる建設産業のイメージアップに努めることとしています。

 道としては、今後とも、建設業が持続的に発展していけるよう安定的な公共事業予算の確保に努めるとともに、担い手確保などにも取り組んでまいります。

荒木 ことし「北海道命名150年」を迎えます。この節目をどのような年にしたいと考えていますか。

知事 北海道の歴史・文化や先人の偉業を振り返り、感謝し、道民の皆さんと一体となってお祝いするとともに、北海道の価値を国内外に発信することにより、さまざまな交流を広げていきたいと考えています。

 北海道150年事業は、「未来へつなぐ、みんなでつなぐ」をコンセプトにしており、北海道の将来を担うのは、今の子どもたちです。これからの時代を担う若い世代の皆さんの記憶に残る1年となるようにしたいと考えています。

 北海道には豊かな自然環境や食など、世界に誇るべき魅力がたくさんあります。子どもたちには北海道が持つこうした価値に気付き、さらに新しい価値をつくっていくことに積極的にチャレンジしてほしいです。子どもたちの柔らかい頭から生まれる新しい発想が、今後の北海道の発展につながることを期待しています。


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