東京商工リサーチ北海道支社が9日発表した北海道地区の企業倒産状況によると、2017年の倒産は前年より9件多い277件となり、5年ぶりに増えた。水揚げの減少で水産関連企業の倒産が目立った。12月に280億円の負債を出して倒産した小樽ベイシティ開発(小樽)が加わったため、負債総額も増加に転じ、11.6%増の705億4100万円となった。
主要業種を見ると、16年に2番目に多かったサービス・他が前年を29件上回る76件で最多。建設業が続き、3件増の61件となった。災害復旧などによる公共投資や、再開発をはじめとする旺盛な設備投資により、工事量が増す中、人手不足などを要因に受注機会を逃して倒産するケースが出ているという。
以下、卸売業は7件減の46件、小売業は11件減の35件、製造業は1件増の25件、運輸業は7件増の11件、不動産業は4件減の9件、情報通信業は4件減の7件、1次産業は7件減の5件。
近年の水揚げ減少の影響を受け、水産関連企業の多い地域で倒産が目立っており、釧路総合局管内が11件増の24件、根室振興局は6件増の8件となった。一方、台風による災害復旧が進む十勝総合局管内は6件減の8件にとどまった。
20億円以上の大型倒産は、民事再生を申請した大型商業施設運営管理の小樽ベイシティ、介護事業などを展開する持ち株会社のほくおうホールディングス(札幌、負債額30億5200万円)、電話通信端末機器製造のneix(札幌、26億3200万円)、クレジット業のエヌシーマック(旭川、24億1500万円)の4件。
17年は再び増加に転じたが、同支社では「北海道拓殖銀行が破綻した翌年1998年の1003件に比べ、大幅に少なく低水準が続いていることに変わりない」と説明する。
しかし、これまで柔軟に融資支援に応じてきた金融機関が、マイナス金利政策による低金利で収益構造の転換が迫られているとし、「今後、持続的な成長が見込めない企業への貸し出しは慎重になる」と指摘。倒産の急増はないまでも、緩やかに増加すると予測している。