おとなの養生訓

おとなの養生訓 第127回「疲労とお風呂」 体の硬さ取れ血行改善

2018年01月12日 07時00分

 一日の勤めを終えたあと、ひと風呂浴びることが何よりの楽しみという人も多いと思います。ゆっくりとお湯に漬かっていると、体の硬さがとれて、気分もリラックスしてきます。それで、一日の疲れもとれると実感します。ところで、「疲れがとれる」というのはどういうことでしょうか?

 お風呂が体に及ぼす効果としては、具体的にいくつか挙げられています。一つは、お湯に漬かることにより、その水圧が全身にかかり、お湯から上がる時に、その圧力がぬけることで、マッサージ効果が期待できるということです。

 また、お湯に漬かっている間は体に浮力がかかっているので、体を支えるために、あまり筋力を使わないで済むということです。これは全身の力が抜けるという感覚で確認できることです。

 さらに、お湯の熱により、皮膚が温められて、それに応じて血管が開いてきます。これにより皮膚にたまってくる熱を、血液で運ぶことができます。体に熱がたまって、体温が極端に上昇することを防ぐためです。血液で運ばれた熱は、お湯の外に出ている頭部に集まり、そこから熱を逃がすのです。

 このように、マッサージ効果も、体の力が抜けることも、皮膚の血管が開くことも、体の血行を改善する結果となります。これが、疲れをとるのに有効だと考えられるのです。

 そもそも、体の疲れというのは、仕事や運動によって体に生じる疲労物質が引き起こしていると考えられます。疲労物質と考えられるものは、白血球などから出るサイトカインや、神経から放出されるセロトニンがあります。

 さらに最近、これらとは別なタンパク分子が疲労時に体にたまって、これが脳に疲労感を引き起こすという説も提唱されています。なので、これら疲労物質が体からなくなれば、疲れがとれたということになるはずです。

 全身の血行が良くなれば、体にたまっている疲労物質は運び出され、肝臓などで処理されて減少していくと考えられます。血行を改善する一番の方法は、運動なのですが、これでは疲労物質をなくすかたわらで、新たに疲労物質を作っていることになって、疲れはとりにくいわけです。体をなるべく動かさないで、血行を改善する簡単な方法が、お風呂ということになるのです。

 お風呂で流れ出した疲労物質を完全に処理するためには、休息が必要です。だから、お風呂に入った後は、ゆっくりして、体の熱がとれたところで睡眠に入るのがお勧めです。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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