北海道開発局の和泉晶裕局長は、17日開いた局長記者会見で、同局の設計変更を問題視した一連の報道に関し「職員が躊躇(ちゅうちょ)して無理に3割以内にとどめることを懸念している。そのようなことが起きてはならない。改正品確法の理念に基づき、必要な工事は適切なものとして設計変更で支払うことに変わりはない」との考えを示した。また「われわれの責務は良質な社会資本を提供すること。今後も誤解を生むことがないよう丁寧な説明に努めていきたい」と語った。
設計変更報道受け
この日の発言は、北海道開発局の設計変更と調査基準価格などに関して、北海道新聞が昨年12月31日付を皮切りに4回にわたり取り上げて問題視したことを受けたもの。
会見では、一連の報道に対し「変更内容については詳細を公開している。密室の増額など読まれる方に誤解を与える表現がある。設計変更分のうち、当初契約の30%を超えている工事の約4割が最低制限価格ぎりぎりでの落札だ、と報道されているが、全体平均でも4割が調査基準価格近くの落札。特に30%超えの工事で多いわけではない」と事実関係を説明した。
また、設計変更について「工事は、事前調査、地質調査に基づき設計する。予測できない状況もある。設計変更をむやみに増やすつもりはもちろんないが、施工した分はきちんと支払っていく」と語った。
責務は良質な社会資本提供
「設計変更の総額が94億円に上っていることについての考えは」との質問に対しては「良質な社会資本を提供するというのがわれわれの役割。そのために要した費用という認識だ」と答えた。
30%を超える設計変更は原則分離発注としている内規については「品確法により、内規に上書きし現在運用している。設計変更は随意契約ではない。そうした意味では決して内規、入札の形骸化ではない」と語った。
建設業界や公共事業のイメージダウンを懸念する声が上がっている、との指摘に対しては「災害や豪雪などの際にはいち早く現場に駆け付け24時間体制で対応するのが建設業界だ。開発局としても透明性を持って内容を開示しているが、通常の手続きであるにもかかわらず批判されるのは、われわれの力不足。今後も丁寧な説明に努めていきたい」と述べた。