マッチングで高齢者の外出を支援 理学療法士が提案

2018年01月18日 19時00分

 地域活性化の新たな担い手を生み出す、「SAPPOROベンチャーグランプリ2017」(主催・札幌市)の最終選考がこのほど札幌市内で開かれた。起業前の志望者部門では、理学療法士の金栄愛さんが地域のリソーズを利用した高齢者のための移動・生活支援事業でアイデア部門賞を勝ち取った。

 SAPPOROベンチャーグランプリは、札幌市内で新事業や新産業の創出に挑むベンチャー企業の育成を目的に2015年に創設。起業済み部門は、同市に主たる事業所を置く創業後5年以内の者を募集し、大賞には賞金50万円が贈られる。3回目となる今回設けられた起業前部門では、将来事業化を目指す志望者を対象に賞金10万円が贈られるアイデア部門賞を設置。受賞者は市の経営サポートを受けることができる。

 今回、起業済み部門に18件、起業前部門で15件の応募があった。起業済み部門では、色彩を活用した商品開発と研修プログラムを提案する北海道カラーデザイン研究室(本社・札幌)が大賞を受賞した。

 15日の授賞式に先立って行われた起業前部門の最終選考では、農業高校と連携したまちづくりや、体の成長に合わせた下着の製作・販売など3案が発表された。

 アイデア部門賞を受賞した金さんは、17年以上理学療法士として高齢者と接してきた経験から、高齢者の外出を促す移動手段と介助者のマッチングサービスを提案した。

 金さんによると、健康寿命の延伸と認知症予防に外出や社会参加が極めて有効だが、現状は健康不安から外出を諦めてしまう高齢者が多いという。

 高齢者が増加する一方で、介護職や運転手の人手不足は深刻化しており、担い手が不足すれば外出が制限されてしまうことも予想される。

 「つえをついたり、介助が必要になると他人に迷惑をかけたくないから外出を諦めてしまう。そんな気持ちを柔らかくほぐしてあげるだけで、元気な社会がつくれる」との思いからICTを活用した解決に乗り出した。

 提案するサービスでは、外出目的に応じて、乗り合いタクシーやドライバーと介護者をマッチングでき、病院の診療予約など移動先の情報サービスと連携することで配車以外も自動化できる。

 走行中の車両から運転特性や訪問先のデータを分析し、これに基づく需要予測などの情報を自治体や企業に提供。収益源はサービス利用料や手数料、ユーザーデータの販売料など。住民の足から生まれるビッグデータは貴重な財産となる。

 初年度は札幌市内で150人程度で実証実験を始め、道内展開を目指す。ライドシェアの実験がスタートしている天塩町など交通空白地帯での導入を検討する。

 移動手段のマッチングシステムはICT企業と開発中だ。介助する有償ボランティアとのマッチングシステムの仕様も有識者らと協議を開始。情報収集では地域の福祉拠点や自治体との連携を図り、まちづくりとの連携で他社との差別化を図る。

 高齢者の外出を増やすことで、地域経済の活性化や、地域のアクティブシニアの雇用創出にもつながるとみており、「近い未来に自動運転車ができる。普及までの間、お出かけ先とつなげる手段を確保することが重要になる」と話している。


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