札幌市交通局が、国土交通省の2017年度バリアフリー化推進功労者大臣表彰を受賞した。地下鉄全駅へのホーム柵設置や、駅員へのマナー教育の徹底などハードとソフトが一体となったバリアフリーへの取り組みが評価された。
同表彰制度は、バリアフリーの普及を目指して07年に創設し、ことしで11回目となる。
同局は09年から17年にかけて、地下鉄3路線全49駅に可動式ホーム柵を設置した。このほか、ホーム柵の各扉に車いす対応などを運転手に知らせるための「旅客対応中ボタン」を設置したり、車両とホームの隙間が15cm以上の乗降口に「転落防止ゴム」を設けるなど、高齢者や障害者の移動における利便性に配慮した取り組みを行った。
地下鉄駅全ての階段は、色によって段を識別でき、雨や雪などのスリップを防げるようゴム材の階段ステップへと改修した。
路面電車ループ区間では、全国でも珍しい歩道側を走行するサイドリザベーション方式を導入し、乗客の安全確保に努めた。
ソフト面では、駅を管理する札幌市交通事業振興公社と共に05年から全駅員を対象としたマナー研修を実施。研修では高齢者や身体の不自由な利用者への介助技術を学んでいる。
車いす使用者の安全な乗降のため、ホームと列車の隙間と段差を解消する「車いす用渡し板」も開発。長年の改良を重ねて、車両の形状に合わせたずれ防止機能を付けるなどの工夫を凝らした。
同局担当者は、国の制度に先駆けて点字タイルの敷設に取り組むなど、いち早い動きがバリアフリー化の推進につながったとみており、「今後も事業者として進んで取り組んでいきたい」と話している。