より多くの観光客を呼び込みたい―。上川町は近年、旧耐震基準で建設されたホテルの耐震改修に対して補助金や、入湯税の値上げなど、層雲峡温泉の観光振興対策に力を入れている。耐震改修は3つのホテルが対象。入湯税の値上げは2018年4月1日から実施し、増収分を札幌、旭川と層雲峡を結ぶバスの充実や体験型施設の整備といった観光振興の財源として活用する見通しだ。施設を安全な状態にした上でサービスの充実を図り、観光客の増加を狙う。
層雲峡温泉には毎年約200万人が訪れる。このうち宿泊客数は約60万人、外国人宿泊客数は20万人程度となっているが、ここ数年はやや減少傾向にある。
入湯税は大手5ホテル(ホテル大雪、層雲閣グランドホテル、朝陽亭、朝陽リゾートホテル、層雲峡観光ホテル)の宿泊客を対象に、1人1日当たり150円から250円に値上げする。これにより年間約5000万円の増収を見込んでいる。
増収分は観光地域づくりを推進する大雪カムイミンタラDMOの運営資金に活用。札幌、旭川と層雲峡を結ぶバスの充実や体験型施設の整備、ガイドの育成などに充てる考えだ。
耐震改修を施すのは旧耐震基準で建設された層雲峡観光ホテル、層雲閣グランドホテル、ホテル大雪の3つ。大規模ホテルなどの診断義務化を受け耐震診断した結果、強い地震で倒壊・崩壊の危険が高いと判断されたため改修に踏み切った。町は改修工事費の一部を補助する制度を16年度に創設。全体工事費の3分の1程度を国が負担し、町と道が約6分の1ずつ拠出する。
層雲峡観光ホテルは鉄建建設、層雲閣グランドホテルは荒井建設の施工で17年3月から改修工事を実施。ホテル大雪は18年3月から田中組で着工する計画となっており、併せて西館のリニューアル工事も予定している。町は「観光客に安心して来てもらうためにも、積極的に支援をしていきたい」と話している。