林業担い手確保の取組(上) 知内モデル構築までをたどる

2018年02月08日 13時00分

 2017年度は転職5人、18年度は新卒3人―。知内町林業担い手確保推進協議会の取り組みが、新規就業者獲得という最良の成果で終わろうとしている。18年度からは道が「知内モデル」として構築した町、企業、学校からなる地域のつながりや担い手確保のノウハウを町が引き継ぎ、新体制で活動を展開する。協議会が設立された16年度からの2年間の活動を追った。(函館支社・福本 優香記者)

■人材不足解消へ協議会

 道は16年度から、渡島、空知、上川、オホーツク、十勝の5管内をモデル地区として担い手確保に向けて林業事業者と教育・行政機関のネットワーク構築を展開。渡島管内では知内町を選定し同協議会を設立した。

 渡島総合局東部森林室、同西部森林室、同林務課、知内町、知内町森林組合、知内高校、知内町教育委員会、函館公共職業安定所、桧山森林管理署のほか、岸本木材、前田林業、端場事業所、石本組造材、松田林業、斎藤製作所、湯の里木材工業所、ウッドファミリー、小沢建具工業で構成する。

 

先輩技術者から指導を受ける17年の就労者たち

■新規就労者獲得に一定の成果

 17年度は5人が林業事業者に転職。18年度は知内高から1人がフローリング製造業、協議会としてアプローチしていた福島商高から2人が家具製造業に、計3人の新卒採用が内定している。いずれも町内の事業者だ。

 地元就職希望者にとっては、林業が受け皿の機能を果たしたことになり、知内高の進路部長は協議会の取り組みを「生徒の職業選択の幅が広がった」と受け止める。同部長によると「生徒にとっては知らないということが一番のネック。それだけで選択肢から外れることがある」と実情を説明し、協議会の取り組みによる学校と企業のマッチング効果を評価した。

 道が担い手確保事業に注力した背景の一つには、就業者の高齢化やこれに伴う世代交代への危機感がある。道林業労働実態調査によると、15年の道内の林業労働者は4272人。新規就業者数は185人で、道内全体では微増傾向にあるものの、平均年齢は50・2歳と高く、60歳以上が3分の1を占める。また、山をつくる造材業や種苗業は減少傾向となっている。

 さらに知内町内に目を向けると、湯の里木材工業所の奥山茂社長は「2、3年前から求人への応募がほとんどなくなり、木材加工業は人材不足」と苦境を明かす。外国人労働者雇用へと方針転換せざるを得ない状況だという。

 そこで協議会では担い手確保に特化し、工場・現場見学会、インターンシップ、長期就業体験、小中学生向けPR、林業お試しツアー、町長講話・ソクラテスミーティング、各種セミナーや林業機械展参加、ホームページ開設など種々の活動を繰り広げた。


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