林業担い手確保の取組(下) 知内モデル構築までをたどる

2018年02月11日 08時00分

■対象を産業全体に拡大

 2018年度から協議会の事務局を引き継ぐことになった知内町は、これまでの取り組みを土台にしながら、さらなる拡充を図る。仮称・地域産業担い手対策連絡協議会として自立化し、林業にとどまらず、農業や漁業など地域産業全体に対象を広げ、担い手対策を展開する方針だ。

 町は役場内に専任担当者1人を置く担い手対策部門を設置するほか、3月完成を予定するしりうち地域産業担い手センターの運営、就業体験、研修メニューの構築やサポートなど、担い手対策の中核となる。

 また、道が2020年度設立を予定する林業大学校と連携し、将来的には道南地域の担い手確保の拠点となることを目指す。修学2年目の専門実習や企業研修先として、同センターとも連動しつつ、知内のフィールドを活用するよう道に要請する考えだ。

■町が主体、さらに充実へ

 大野町長は「農業も林業も事業者は一生懸命で、町の中核産業を担ってくれている。活動を充実し、いい担い手を育てていけば、他の自治体とは違うまちづくりができていくだろう」 と話し、地域一丸となって取り組みを継続する考え。「人口減少はなかなか止まらない。若い人に来てもらったからといって、爆発的に変わるわけではない。定住できる、住んでもらえるよう、地道に地道に進めていきたい」との決意を示している。

 このほど知内町を訪問し、知内町林業担い手確保推進協議会の取り組みを視察した小田原輝和渡島総合局長は、「一口に林業といっても、知内町内には製品化するまでの技術がある。木材加工業者までが一体となって担い手の育成に取り組んできたことは、一つのモデルとなる」と評価。「今後も活動が続いていくことに期待したい」とエールを送った。

小学生対象の工場見学会では、未来の担い手たちが加工機械を見詰めた

 道のリーダーシップで町や町内事業者、高校などが一丸となり、活動2年目には、一定の成果を上げた。今後は、対象が産業全体に広がり、連携や調整が難しくなる中で、事務局を務める町の舵取りが重要になる。

 渡島総合局東部森林室の二本柳寿紀主査は「この地域の仕組みやノウハウが〝知内モデル〟として、多くの人のヒントになり、渡島管内や道内各地に波及していってほしい」と期待している。


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