北海道新幹線の札幌駅ホームの位置決定を巡り、鉄道・運輸機構とJR北海道は9日、道、札幌市と国土交通省を交えた調整会議で、これまでの検討案と課題を改善した「認可見直し案」「東案その2」の詳細を示した。5者は調整の上、3月末までにいずれかを採用することで合意。難航していたホーム位置決定の議論が、ようやく大詰めを迎える。
■認可見直し案
「認可案の課題は見直しの結果、在来線ダイヤへの影響は問題のないレベルに解消された」。調整会議後に開いた記者会見で、JR北海道の西野史尚副社長と、鉄道・運輸機構の小島滋副理事長はそれぞれ、見直しにより認可案での駅機能確保にめどが付いたと報告した。
これまでの認可案は北側に11番線を新設し、現駅の在来線1、2番線をいったん解体した後、南側に新幹線ホームをつくり直すもので、ホームを挟んで両側に新幹線軌道が敷設される1面2線の島式。在来線は5面9線と、現在よりも1線少なくなる。
しかしJR北海道は、工事期間を含む在来線運行への影響や、新千歳空港と連絡する快速エアポートの増発に影響することが課題だと指摘していた。
機構が調整会議に示した認可見直し案は、発寒中央駅に待避線2線を新設し、札幌駅構内などで信号設備を増設、改良することで運行への影響を改善するというもの。
快速エアポートを26本増発した場合でも、1日650本の在来線のうち支障は1―10本と問題ない水準まで低減できるという。
ホームは中央部の120mにわたる部分が幅約10m。端部は東側が約6・8m、西側が8・2mとなる。新幹線の列車中央から、在来線ホーム中央の5、6番線までの移動距離は80mと複数ある案の中で最も近い。
コンコースは、在来線の現コンコースに接する形で駅舎内に887m²の乗り換え用を配置。新幹線専用は、東改札側の自由通路を挟み、商業エリア「パセオ」内に587m²を確保する。
下り列車の先頭に連結されるグランクラスが停車する北5条西1丁目側のアクセスに考慮し、西2丁目通の東側に470m²の専用コンコースを新設することも検討する。
工期は2030年度末。工事費は調整会議で示した地下案、東案を含む4案で最も少ない約570億円を見込む。
■駅機能確保にめど付くも
機能確保にめどが付いたことで、機構と国交省は、認可見直し案以上の費用負担をしない姿勢を示し、地域活性化の観点から「道や札幌市、JR北海道で認可見直し案との差額を負担するならば採用も可能」との姿勢を表明した。
しかし、認可見直し案は、現駅内の限られたスペースを使うため拡張性に乏しく、新幹線専用コンコースは一部、運営中の商業エリアをつぶす形になる。工事中の在来線運営への影響回避の詳細な検討もこれからだ。
JR北海道の西野副社長は「外国人観光客も増えている。ぜいたくはできないが、道都・札幌の玄関口にふさわしい駅としたい」と強調。東案に見直しを加えた東案その2、通称・大東案について、工事費差額をJR北海道が負担する意向を併せて示し、機構による技術的な精査の了承を取り付けた。(つづく)