興部町長がセミナーでバイオマスタウン構想などを紹介

2018年02月17日 15時00分

 北海道再生可能エネルギー振興機構主催の「バイオガスで興す地域づくりセミナー」が15日、札幌市内で開かれた。バイオマス産業都市連絡協議会会長を務める興部町の硲一寿町長が、バイオマス産業都市構想をテーマに基調講演。秋里地区での町内4基目のバイオガスプラント計画などを紹介した。酪農家代表ではプラント導入から12年の経験を持つ野村牧場(釧路市)の野村敏充さんが、バイオガスを取り出した後に残るメタン発酵消化液の有効性を説いた。

バイオマスタウン構想を説明する興部町の硲町長

 硲町長は、2000年から取り組んでいる町の再生可能エネルギー事業を紹介。11年に策定したバイオマスタウン構想を中心に、現状や今後の展開案などを話した。

 興部町では現在、3基のバイオガスプラントが稼働。うち町営の興部北興バイオガスプラントは利用農家6戸で、1日当たり37・9㌧の原料を処理。消化液や戻し堆肥敷料を製造し、副産物として出るメタン発酵ガスを民間の発電会社に販売している。

 今後、秋里地区で町内4基目のバイオガスプラントを建設する計画。約800頭の家畜ふん尿を処理し、バイオマス利用率を現状の23%から42%まで高める意向だという。

 硲町長は「今後は個々のプラントから出る電力やガスを合わせるような取り組みが、各地の首長に求められるだろう。エネルギーとして道民にフィードバックし、安心して暮らしてもらうことは結果、酪農や畜産業の経営基盤の安定にもつながる」と説いた。

 野村牧場の野村さんは、バイオガスを取り出した後に残る消化液の有効性を説明。12年の体験から、土壌の排水性向上や雑草種子の死滅効果、牛の死産や病気が減るなどのメリットを紹介した。

 そのほかバイオマスリサーチ(本社・札幌)の菊池貞雄副社長が、道内のバイオガス事業の現状などを講演。①家畜ふん尿処理の軽減②メンテナンスO&M③地域電力会社④自然と生活環境保全⑤有機肥料生産と地力増進―の一石五鳥の事業強化を強調した。

 コンサルティングやファイナンス、設計監理などを手掛けるバイオガスエナジー社の設立も発表した。地域のバイオマス資源を地域活性化につなげるための橋渡し役を担い、「地域基幹産業の酪農家を代表し、本州企業とのパートナーシップなどを組み立てながら、この会社を育てていきたい」と話していた。


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