北海道新幹線 札幌駅ホームの行方(下)

2018年02月19日 07時00分

 在来線への影響を減らすとして、これまでJR北海道が採用を主張してきた東案には課題があった。ホームが干渉する関係で、事業とは直接関係がないJRタワーの改修工事に約115億円が必要になり、工事費は認可案を大きく上回る約940億円に膨らむ。この課題を見直し、9日の調整会議でJR北海道が新たに正式提案したのが東案その2。通称・大東案と呼ばれるものだった。

 これまでの東案は、一昨年の4者合意で創成川通を越えない範囲にホーム位置を収めるとしていたため西端部がJRタワーに重なり、費用が膨らむ要因になっていた。

 大東案では、これを回避するため、在来線ホーム東端よりも東側に、創成川をまたぐ形で最長263mにわたる2面2線の新幹線ホームを新設することとした。下りホームは在来線1番線を改修・延伸、上りホームは高架南側の市道上に新設する。

JR北海道が推す大東案。西1丁目から東1丁目にかけて2面2線を設ける

■利用増に対応し混雑解消

 ホーム幅は下りが最大12・4mで東端が4・4m、上りは全て8・4m。島式が基本だったこれまでの新幹線ホームと異なり、下りを降車、上りを乗車専用の相対式とし、混雑解消や移動しやすさに配慮する。

 在来線と接する西端部は、ホームの1層上に延べ668m²の乗り換えコンコースを設置。そこから乗り換えこ線橋で6面の在来線ホームと結ぶ。延べ1011m²の新幹線専用コンコースは西1丁目の高架下と市道、北5西1街区の市有地に一部張り出す形で建設する計画だ。

 ホーム位置が大きく東にずれることで乗り換えの利便性悪化が懸念されるが、乗り換えこ線橋の整備により、列車中央から5、6番線までの移動距離を210mに抑え、接続の利便性を確保する。

 完成は2029年12月末と認可見直し案より1年早い。工事費はJR試算で約625億円。認可見直し案を55億円上回るが、従来の東案で同社が負担することになっていたJRタワー改修費63億円よりは少なく、全額を負担する意向だ。

 JR北海道が強く推す大東案だが、技術的な精査はこれからである上、現駅範囲を前提に周辺の再開発計画を進めてきた札幌市のまちづくりとも調整が図られていない。利便性を高めたとはいえ乗り換えは認可案より不便。中でも最上級席のグランクラス車両から5、6番線までの距離は340mもある。

 30年度末の新幹線札幌開業に間に合わせるには、18年度早々にホームの詳細設計に着手する必要がある。今回の調整会議で、道と札幌市、鉄道・運輸機構、JR北海道、国交省の5者は、認可見直し案、大東案のいずれかを3月末までに選ぶことで合意した。

■課題は在来線までのアクセス

 道都の顔を担い、道内各地を結ぶ重要な交通結節点となる札幌駅。道内交通ネットワークの指針となる仮称・北海道交通政策総合指針の取りまとめ会合が開かれた10日、座長の岸邦宏北大大学院工学研究院准教授は、新幹線のホーム位置について「乗り継ぎの利便性、分かりやすさなど、シームレス(円滑さ)という観点を重要視して決めてほしい」と注文を付けた。

 観光客の急激な増加、エアポート増発など20年前の計画策定時に見通すことが難しかった要素はある。しかし認可案は拡張性に乏しく、大東案はアクセスを工夫しても駅前通からは200―300m離れ、利便性が良いとは言いがたい。

 札幌延伸の開業は13年先だが、決断の時期までは残り1月半しかない。将来の姿を想定し、道民が誇れる駅となるよう慎重な検討が求められる。(この連載は建設・行政部 山本浩之、佐々木潤記者が担当しました)


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