灯台の新たな活用策を考えよう―釧路の魅力を掘り下げて市民レベルで活動する、ばなな倶楽部(鈴木路子代表)は16日、釧路埼灯台で内覧会を開き、観光関係者や行政機関から25人が集まった。高所にある灯台から釧路観光の目玉である絶景の夕日を眺め、灯台の役割を再認識し、灯台を活用した新たな取り組みに思いを巡らせた。
内覧会には、灯台を所管する釧路海上保安部が協力。同部の中川隆司次長が灯台の歴史や果たす役割、歴史について分かりやすく説明した。
釧路埼灯台は1891(明治24)年に釧路市米町に建てられ、現在は2001年に改築した3代目。一般的な灯台の形ではなく、事務室やレーダーの運用室も内蔵するためビルのような外観。また地震が多い釧路の土地柄に併せ、建物内部はゴムを入れた免震構造となっており、全国的にも珍しいという。
■免震構造採用、高価なレンズに驚き
中川次長は「灯台の明かりは夜だけでなく、昼間も点灯するが、灯台の誕生日に当たる『初点』は明治24年以降、ずっと15秒に1回の間隔で光を出し続けている」「灯台のレンズは非常に高価で、初代の建物にあったレンズは現在の価値に換算すると1億円ほど」と解説すると、参加者からは驚きの声が出ていた。
参加者は建物4階に移動してきれいな夕日を眺め、レンズを間近で見学。発明者の名前から「フレネルレンズ」と呼ばれ、散らばった複数の光を通すと、海面と並行になる光に変換。約36㌔遠くまで届く。
中川次長によると、全国的に灯台が活用される例として「海の日」などで一般公開が行われるほか、全国15カ所での参観事業(道内対象外)、自治体との協力による岬の公園化や特徴あるデザイン灯台などの例があるという。「ことしは西洋式灯台が建設されてから150年の節目に当たる年。灯台の今後の活用に向けヒントになれば」と期待を寄せていた。(釧路)