札幌市円山動物園は9日、昨年10月に完成したホッキョクグマ館の報道機関向け内覧会を開いた。ホッキョクグマとアザラシを併設展示するこの施設は、屋外放飼場や全長18mの水中トンネルなど多くの見どころを備える。この日は、ホッキョクグマの親子、ララ(雌)とリラ(雌)がプールでアザラシを追い掛けて泳ぐなど、広い施設を目いっぱい使ってうれしそうに遊び回っていた。
同園のホッキョクグマ繁殖実績は国内1位を誇るが、さらなる繁殖を目指すため、海外からの個体導入に備え国際的な基準を満たす施設を整備した。RC造、2階、延べ1537m²の規模で、建築設計は大建設計、主体は岩田地崎建設・中井聖建設共同体が担った。工事費は約23億円に上る。
ホッキョクグマのメイン放飼場は1406m²あり、既存施設の約5倍、プールの深さはホッキョクグマで約2倍の3・7m、アザラシで水量が約10倍の約500㌧といずれもゆとりを持たせた。
メイン放飼場では、地面をこれまでのコンクリートから芝に張り替えるなど、動物が生き生きと暮らせる工夫を随所に施し、過ごしやすい施設とした。来園者がホッキョクグマや環境について学べるサイン看板やレクチャールームも備えている。
同園では現在、4頭のホッキョクグマを飼育しているが、新施設ではデナリ(雄)、ララとリラ親子、キャンディ(雌)をそれぞれ交代で展示する予定。アザラシは、ゴマフアザラシ4頭をメイン放飼場で展示し、高齢のゼニガタアザラシはサブ放飼場で飼育する。
この日、ララとリラの2頭はプールで泳いだり、雪の上で寝転んだりと、自然の中で生き生きと過ごしていた。水中トンネルでは、ララがアクリル板を隔てて隣のプールにいるアザラシを追い掛けて素早く泳ぎまわり、トンネルの上に立つと足の裏がはっきり見えた。
加藤修園長は「いよいよ13日にオープンする。地球温暖化のホッキョクグマに対する影響など、環境についても学んでほしい」と話していた。