ソフトウエア開発のテクノフェイス(本社・札幌)が独自発した電子看板・プロジェクター技術が、新しい仮設資材の提案につながりそうだ。同社の画像補正技術で、低位置や曲面へのプロジェクター投影が可能になる。市販の安価なディスプレーを自在に電子看板化できるソフトウエアと組み合わせると、より効果的に工事現場を周知できる。
ある現場の前を通ると、仮囲いに取り付けられたディスプレーに気が付く。そこには工事内容や進ちょく状況が流れ、画面が切り替わると施工会社についての紹介が流れている。現場入り口に近づくと、敷き鉄板に「車両が出入りします」と注意喚起の警告が映し出されて足を止める―。
そんな仮設資材を実現できるのがテクノフェイスの最新技術だ。北大発ベンチャー企業の同社は、石田崇社長をはじめ、ほとんどの社員が技術者。IoTを活用した制御系技術システムの提案やAIによる解析・支援事業に力を入れている。
2016年から参入したデジタルサイネージ分野で提案しているのが、市販のディスプレーやスクリーンに案内映像や動画を投影できるソフトウエア「TechnoVision controller(テクノビジョンコントローラー)」。画面構成や放映のタイムスケジュールを簡単な操作で自由に編集でき、空港や公共施設で導入されている。
一般的に広告などを配信する電子看板は、ディスプレーと映像ソフトを一体で販売することが多いが、同社は編集配信ソフト単体を販売するので、市販の安価なディスプレーと組み合わせればコストを抑えられる。昨年から遠隔地での配信に対応したネットワーク版を発売している。
画面は8×8の最大64分割まで表示でき、複数の素材を同時に表示したり、画面形状に合わせた映像の配置も可能だ。配信内容の部分的な差し替えや、時間帯・曜日ごとの再生スケジュールは、初心者でも容易に編集できる。1サーバーで100カ所まで対応できる。
好調なサイネージ分野で、新たにプロジェクターの画像補正技術を開発した。角に写すと歪んでしまう投影映像を、コントローラーを使って誰でも簡単にその場で見やすく補正できる。看板を設置できない壁面や曲面への投影が可能なので、トンネル天井などでも見やすい映像を投射できる。
この補正技術を応用し、低位置からのプロジェクター投影技術も考案。高い位置に設置した機器から床面に投射する場合、歩行者の影が映り込んで画像が乱れてしまうが、低い位置での投影なら影ができにくい。現在、製品化に向けて準備中だ。
ソリューションテクノロジ事業部の小林隆行事業部長代理は「最大の特徴は、プロジェクターを置く場所の制限がないこと」と話す。今まで設置できなかった現場入り口に仕込めば、覆工板に注意喚起を投影できる。「気が付きにくい夜間の注意喚起に使えばより目立つのでは」とニーズを見込む。
今後は、建設資材メーカーなどと提携して製品開発を進め、安全性や壊れにくさに配慮しながら、プロジェクターやディスプレーなどのハードを取り付けた仮囲いの考案を進める。
建設現場だけでなく、店内内装や通路広告など幅広い使い道を検討できそうな同社の技術を身近な所で目にする日もそう遠くはないだろう。