シベリアこぼれ話 ノボシビルスクを訪ねて(中)

2018年03月14日 07時00分

 2月12日、ノボシビルスク市街地から約25㌔の場所に位置するバイオテクノパーク「コリツォボ」に足を運んだ。ミラーボールを合わせたような風変わりな外観の国立研究所が目を引く。114haの敷地内では、製薬関連の研究が進められている。

コリツォボの国立研究所「コリツォボ」の国立研究所

 ロシアの製薬市場はジェネリックの比率が高く、政府は積極的な先発薬の開発を促している。コリツォボでは、利益を得るまでに多額のコストがかかる製薬開発について、基礎研究から製品化まで総合的に支援している。

 例えば、新薬の販売許可を得るために必要な性能試験や、国への許可申請手続きを代行する窓口を設けた。企業は、化学分析室や無菌実験室を自由に使って研究ができる。

 販売許可の申請には錠剤化した薬剤サンプルの提出を求められるが、中小企業が設置するには高価な錠剤化機械もまもなく導入する予定だ。企業の設備投資を抑えて研究に集中させることで、新薬開発を後押ししている。

 州政府から税金の一部免除も受けられ、インフラが完備されたパーク内で土地を安価に借りることができる。ただし入居には、将来性や技術の先進性、採算性などを加味した厳しい審査を通過しなければならない。

 現在、心臓疾患関連の研究企業や血液・ウイルスの医療検査システム開発企業、健康食品企業など7社が入居中。ロシア最大の製薬開発・販売会社「カトレン」もその一つで、コリツォボで開発した新薬の普及には、ロシア国内全土へと広がる同社の販路を活用する。

 2006年に入居したエスエフエムファームは、コリツォボにあるナノテクノレーザー機械を薬剤カプセルの加工に活用し、血栓溶解薬を開発。他製品の5分の1のコストで同等の効果を得ながら、副作用を抑えることに成功。海外販売に向けて国際特許を申請中だという。


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