■建設最大手のシビリ見学
2月14日、ノボシビルスク州最大手の建設会社「シビリ」の木材工場を見学した。約5000m²の工場内は暖房が行き渡り、マイナス数十度の屋外の様子とは裏腹に、半袖姿の従業員らが作業にいそしんでいた。
アパートや戸建て、高層マンションの建設、文化的建築物の改修を中心に、毎年15万m²を施工する同社。1990年に設立し、自社で資材や外壁材、建具、家具なども製造する。グループ会社ではリゾートや魚の養殖場、発電所の運営など多角的に展開している。
訪問した木材工場は、約8haの広大な敷地の一角にあった。奧には鉄筋や配管の工場も備え、郊外に保有する砕石場から石を採取し、敷地内でコンクリートも製造している。従業員は約500人で、20代前後の若い女性の姿も見かけた。聞けば全体の4割が20―30代だという。
暖かく、広々とした工場内で作業が進む
4時過ぎに終業のチャイムが鳴ると、途端に工場は静かになった。始業は午前7時半と早いのだ。人けのない建具の製造コーナーを歩き、木材の切り出しから乾燥、加工、仕上げ工程を見て回った。大部分の作業は機械化され、最大6mまで加工できる機械の前では、家具用のシラカバや窓枠用のマツの木板が並んでいた。
■自社で資材製造しコスト抑制
ロシアでは、気密性や断熱性に優れた木製サッシ窓が好まれており、窓部門だけで売り上げは年間約5億円に達するという。国産材を使用した高級家具は、輸出が伸び悩み、年間で3000万円ほど。国内の経済危機が影響し、生産量は数年で5分の1ほどまで減少している。
自社で施工する現場には、材料の9割を自社で賄う物件もある。同社幹部は「機械用の部品や仮設資材、搬送などを他社に発注しないので販売コストが抑えられ、富裕層から若者向けアパートまで幅広く対応できる」と話していた。
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