西日本鉄道(本社・福岡)が、札幌市中央区の道庁近くでホテル新築を計画していることが19日分かった。インバウンド需要を視野に道内初進出する。約300室の準高級ホテルで、2019年夏ごろの着工、21年の開業が見込まれる。中心部では今春、福岡地所(同)もホテル新築に入る計画で、九州大手企業によるホテル進出が続く。
北海道林業会館が北4条西5丁目の同ビル改築の共同事業者として選定した西鉄と竹中工務店グループが、地下1地上14階、延べ約1万6200m²の再開発ビルを提案。西鉄は土地を林業会館から賃借した上で建物を建設し、林業会館は3、4階の約2700m²を区分所有する。
ホテル部分は1―2階を吹き抜けとし、1階にロビー、2階に朝食会場となるレストランを配置。5階以上を客室とする。会館とホテルの入口は別々に設ける。
西鉄はシティーホテル、ビジネス主体の「イン」「クルーム」と、この中間に当たる「ソラリア」の各ブランドで、開業予定を含め国内外で23店舗を展開。札幌のホテルはソラリアを予定する。
林業会館は土地、建物を共有、区分所有し、KKRホテル札幌を運営する国家公務員共済組合連合会から土地等を取得でき次第、8月ごろから会館・ホテル解体に着手する。
■九州大手企業の進出続く
九州勢の道内ホテル進出を巡っては「グランドハイアット福岡」、高級ビジネスホテル「フォルツァ」などを展開する福岡地所が、JR札幌駅前で道内初となる「ホテルフォルツァ札幌駅前(仮称)」の20年春開業を予定する。インバウンド需要を見込み、300室弱のホテルを計画する。
不動産調査などを手掛けるCBRE(本社・東京)によると、福岡市では札幌市と同様に韓国をはじめとするインバウンドの増加でホテル建設が相次ぎ、顧客獲得競争も強まっている。札幌市内に少ない高級ホテルの展開に目を付け「ライバルが少なく、チャンスと捉えている企業もいる」と説明する。
道内でのホテル事業が成功すれば「それが呼び水となる」と強調し、まだ事例が少ない大通北側で、ワンランク上のホテルを誘致する企業が出てくるのではと注視する。