正面衝突防げ 高速道路安全性向上へ(下)

2018年03月28日 17時00分

■防護柵実用化に4年、相反する要素調整

 「相反する要素がいろいろな所にあって、それを取りまとめる必要があった」。暫定2車線の高速道路に設置するワイヤロープ式防護柵の研究開発を主導した寒地土木研究所寒地交通チームの平沢匡介主任研究員は、開発の経緯をこう振り返る。新規開発した第1号の防護柵は、大型車の突破を許した。支柱の強度を上げれば大型車は突破しにくい一方で、乗用車が衝突した際に運転手にかかる衝撃は増し、事故車両が急激に減速するため追突事故の危険も大きくなる。改良型の防護柵が実用化するまで、約4年を費やした。

研究を主導する平沢主任

 平沢主任は札幌市出身の54歳。1986年に室蘭工大を卒業後、北海道開発局に入り、開発土木研究所に配属された。2002年からはセンターライン上に溝を彫り込むランブルストリップス工法の研究開発を主導。車両が車線を逸脱した際に音と振動で運転者に警告する仕組みで、国土交通省の公共工事等における新技術活用システム(NETIS)で初の推奨技術に選ばれた。

 この工法は居眠りや不注意運転に対して大きな成果を上げる一方、山間地など線形の厳しい区間では効果が薄れる。課題意識を感じた平沢主任は07年にスウェーデンの一般道を視察し、全3車線のうち中央を交互に追い越し車線とする「2+1車線」道路で死亡事故防止に大きな成果を上げているワイヤロープ式防護柵のアイデアを日本に持ち帰った。

 日本の高速道路に導入するには、乗用車と大型車の両方で衝突試験をクリアする必要がある。ところが、米国のメーカーから取り寄せた防護柵は一般道への設置を前提としていたため、衝突させた大型車がタイヤでロープを引き下げ、突破してしまう。平沢主任率いる研究チームは08年度から素材やロープの高さ、スリットの形状、端末部分の形まで全てを見直し、一から開発を始めた。

■維持管理向上目指す

 大型車に対応するため支柱の高さを引き上げ、ロープの本数も5本に増やした。支柱はやや硬い素材を用い、突破に強くした。これは乗用車の運転手への衝撃や車両の離脱速度、反射角度と相反する作用が出るため、慎重に調整した。数々の実験の末、全試験項目をクリアしたのは、12年1月の性能試験だった。

 平沢主任によると、今後の課題は「まず維持管理のしやすさ」だという。今温めているロープ間隔保持材や緊急開放金具などのアイデアを組み合わせることで、事故発生後の復旧作業時間を約5分の1まで短縮できる。端末部分を深く埋設できないトンネルや長大橋梁への設置も次の目標の一つだ。より一層の道路安全確保のため、日々さらなる研究を進めている。


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