国土交通省と道、旭川市、帯広市の空港4管理者は29日、道内7空港一括民間委託の実施方針を公表した。運営権対価で最低提案価格は年24億円の計720億円。運営移行時に支払う一時金は1円以上とする。2020年1月ごろに7空港一体でビル経営を始め、滑走路などの運営は同6月の新千歳から段階的に移行する。説明会を開く4月5日から20日まで実施方針への意見を受け付ける。
事業期間は30年間で、不可抗力延長の場合は最長35年間。対象は新千歳、釧路、函館、稚内の国管理4空港、道管理の女満別と市管理の帯広、旭川。実施方針策定と実施契約締結は各管理者と行う。
運営権者は着陸料など収入を設定・収受し、事業に必要な費用を負担する。国管理空港は原則全ての費用を運営権者が負担するが、地方管理空港の更新投資費用は公的負担を伴う混合型とする。
運営権対価では、0円を上回る一時金と1年当たり24億円の分割金を国に支払う。地方管理空港は公的最大負担額の削減額を空港ごとに提案。航空ネットワークの充実強化、広域観光の振興、地域との共生も提案する。
資産査定した空港ビル会社などの譲渡価格は、新千歳空港ターミナルビルディング102億円、札幌国際エアカーゴターミナル15億2800万円、稚内空港ビル6億5100万円、釧路空港ビル9億2100万円、函館空港ビルデング43億6900万円。給油施設事業者は千歳空港給油施設9億3600万円となる。
参加資格要件は、単体企業か複数企業のコンソーシアム。08年以降に①延べ1万m²以上の商業施設か延べ2万m²以上の公共施設の運営実績②年間利用者数1500万人以上の旅客施設か延べ2万m²以上の貨物取扱施設の運営実績③これらの営業用不動産管理事業の実績が必要。実績の国内外は問わない。
国が設置する審査委員会が7空港分の提案内容を審査。4月ごろに募集要項を公表し、8月から9月に第1次審査、9月から19年4月に競争的対話、同5月から7月に第2次審査をし、同7月に優先交渉権者を選ぶ。
10月にSPC(特別目的会社)設立と契約締結し引き継ぎに入る。20年1月ごろに7空港一体のビル経営を開始。滑走路などは同6月ごろに新千歳、10月ごろに旭川、21年3月ごろに残る5空港と段階的に運営移行する。
地域との相互理解や緊密な連携に向け地方公共団体などとパートナーシップ協定を結び、空港発展や地域振興に連携して取り組むことを要求水準として求める予定。
責任の履行確保では、4管理者共通の枠組みでモニタリングをする。提案や要求水準を守らない事態が続く場合、4管理者全てと契約解除できる仕組みや4管理者協議の場を設ける。