白老町のポロト湖畔に開設される民族共生象徴空間の中核施設になる国立アイヌ民族博物館の地鎮祭が5日、建設地の若草町2丁目でアイヌの伝統・風習にのっとった形で開かれ、関係者ら約120人が工事の安全と円滑な施工を祈念した。工期は2019年11月29日まで。20年4月24日の一般公開を目指し、来週にも杭打ち工事が始まる。
地鎮祭は施工者の竹中工務店・田中組共同体、日立プラントサービス、末広屋電機が主催。北海道アイヌ協会が協力した。
主催者を代表して竹中工務店の篠井大専務が「期待と信頼に応え、全社を挙げて品質と安全に最善を尽くし、19年11月の竣工を必ず達成する」と宣言した。道アイヌ協会の加藤忠理事長は「博物館は道内外、地域のアイヌを結び付け、アイヌ文化復興の屋台骨となる重要な施設だ」と述べ、アイヌの伝統に即した地鎮祭開催に感謝した。
内閣官房アイヌ総合政策室の平井裕秀室長、高橋はるみ知事、アイヌ政策を推進する議員の会オブザーバーの鈴木宗男新党大地代表が来賓あいさつ。
平井室長は開設まで2年余りとなった博物館の取り組みに対して、地元やアイヌ文化の伝承者に一層の協力を求め、一般公開に向け政府一同全力を尽くすと誓った。高橋知事は国、アイヌ協会らと連携して国内外にPRし、アイヌ文化の振興と発展をやり遂げ、北海道全体の観光や産業振興に結び付けたいと協力を求めた。
鈴木代表はアイヌ政策を振り返り、北海道命名150年の節目に博物館建設がスタートすることの意義を強調した。
カムイノミ(神事)には、全道各地から集まったアイヌ35人と竹中工務店・田中組共同体の谷口昭彦統括作業所長が参加。来賓や自治体、工事関係者らが見守る中、アイヌ伝統の儀式、イチャルパやウポポとリムセを執り行った。参加者は、火の神など多くの神々に供物を捧げ心を込めて祈り、先祖を供養する儀式には高橋知事も加わった。
アイヌ文化復興の拠点となる象徴空間は、先住民族であるアイヌの尊厳を大切にし、国内外に類いまれな歴史と文化を発信、新たなアイヌ文化の創造と発展に寄与するもの。道内初の「国立アイヌ民族博物館」や「国立民族共生公園」「慰霊施設」などで構成される。