釧路市は、2017年度に実施した観光の経済効果に関する調査結果をまとめた。観光やビジネスによる来訪者が市内で消費した金額は年間365億円、経済波及効果額は422億円に上ると推計している。
日本人客については、16年9月―17年8月に来訪した市内や近隣市町村を除く15歳以上の男女を対象にインターネットで調査した。外国人客については、観光庁の訪日外国人消費動向調査を活用。15年1―3月期から17年7―9月期までの11四半期分から釧路市来訪経験がある256サンプルを抽出し、市内での消費総額を算出した。
これによると、来訪客1人当たりの消費額は、日本人の宿泊客が3万6400円、日帰り客が1万500円、通過客が7900円、外国人の宿泊客が2万5800円、日帰り客が6500円。
また、同じ日本人宿泊客でも、10回以上来訪経験があるリピーターの消費額は平均を上回る3万9300円で、飲食費や買い物代の割合が高いことが分かった。
消費額から、市外へ流出する分を除いた市内への直接効果額は286億円。ここから直接収入を得るのは宿泊業や飲食業、運輸業などだが、これらの産業が市内で原料調達などを行うことで経済波及効果は422億円に跳ね上がる。
雇用面では、直接が3007人、間接が979人と、合わせて3986人の雇用誘発効果が生じている。
前回調査した09年の観光消費額は211億円、経済波及効果は254億円、雇用誘発波及効果は約1900人。17―26年度を対象とする第2期市観光振興ビジョンでは、経済波及効果を09年の2倍の約500億円にするとの目標を掲げているが、1・7倍に達したことになる。中でも日本人宿泊客の消費額は09年調査から6800円も増えた。
市産業振興部の菅野隆博観光振興監は、東日本大震災が起きた11年度を底に宿泊客、日帰り客とも徐々に盛り返してきたが、それ以上に消費額が伸びていると指摘。「前回調査時は、まだ情報発信がパンフレット主体だった。今は外国人を中心に、SNSで情報を入手する旅行者が大半」として、観光関連産業の情報発信力強化や、域内調達率の向上が功を奏しているとみる。
今回の調査では、目標値に近づくためのシミュレーションも実施した。外国人宿泊客が2倍に伸び、日本人宿泊客の1割が5000円多く消費したと仮定すると、経済波及効果は31億円、雇用誘発効果は291人それぞれ増加。
地元食材調達率が10%上昇し、外国人と日本人の宿泊客が飲食費を15%増やせば、経済波及効果が19億円、雇用誘発効果が148人それぞれ伸びると試算している。