建築士事務所の働き方改革 若手技術者に聞く

2018年04月14日 09時30分

 国を挙げて取り組む働き方改革。建設工事で週休2日の取り組みが始まるなど、道内建設業界の動きが加速している。こうした状況の中、人手不足解消のため、働き方改革に乗り出す建築設計事務所も増えてきた。新卒者や女性の雇用を確保し、人材の流出を防ぐ業務の平準化や効率化、処遇の改善が求められている。「魅力ある職場でなければ将来はない」(北海道建築士事務所協会)。問題提起する若手技術者の思いをまとめた。(建設・行政部 仲道 梨花記者)

 北海道労働局によると、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率はことし2月時点で5・27倍に上っている。人手不足の背景には人口減少や少子高齢化などによる働き手の減少に加え、建設関連産業では「仕事がきつい」「休日が少ない」などのイメージが人材確保を難しくしている。

座談会で入社1年目から勤続十数年までの若手技術者7人が話し合った

 建築設計業界は、業務の性質上、他の産業に比べて残業や休日出勤を抑制するのが難しい。単年度発注が多く、年度末に締め切りが集中し、残業が増加する。しかし、設計者個人の能力やプロジェクト全体の進捗(しんちょく)状況、受注状況によって業務量が異なるため、容易に人員を増やすことができない現状があるのも事実だ。

 毎年、道建築士事務所協会札幌支部が開く座談会では将来を担う若手技術者が、現状を取り巻く課題とともに、解決策を提言し、情報共有を図っている。

■残業制限しても休日出勤増

 最近は働き方改革が喫緊の課題だ。若手技術者に話を聞くと、「今月は残業を40時間以内にしてと言われるようになった」という一方で、「厳しくなっても仕事が減るわけではない」と頭を悩ませている。「結果として休日出勤が増え本末転倒の状況」と打ち明ける。その半面「深夜までの残業はなくなった」と変化を実感している人もいた。

 社員のワークライフバランスの改善に乗りだす建築設計事務所も増えている。社員全員のスケジュール表を作成し、仕事が偏らないよう割り振ることで負担が分散される仕組みを作っている会社もある。完全ノー残業月間を実施している会社も多く「平日の夜をプライベートに使える」。その分翌日のやりくりが大変だが「それでもめりはりがあって良かった」と振り返った。

■打ち合わせ方法の改善必要

 改善策として、「打ち合わせ現場が遠いと移動時間がかかり残業につながる」と話し、時間短縮のためテレビ電話での打ち合わせを検討すべきという提案があった。ネットが発達したのだから、デジタルを有効利用して業務の改善を唱える声が多く上がった。

 女性の活躍も欠かせない。女性社員はまだ少ないが近年増えてきたとの回答が多かった。しかし、女性社員の人数が少なく、近い年齢の人がいないため、参考にできるロールモデルがいないという課題が浮上する。

 発注者の道は、設計業界の働き方改革について「締め切りを金曜日に設定するなど土日の出勤がないように配慮している。打ち合わせも残業につながらない時間に設定するなど工夫している」と理解を示す。年度末に業務が集中することについては「業務の平準化につながるように発注方法も考えなくてはならない」と前向きだ。

 長時間労働や休日出勤を抑制し、魅力ある職場にしていかなければ将来を担う若い人材は確保できない。官民が一体となって業界の存続に関わる危機と捉えて改革を進める必要がある。


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