長万部町と東京理科大が連携して推進する先進的アグリビジネス事業で、ICTを活用して高糖度トマトを栽培する植物工場1棟が完成した。16日、富野の現地に関係者ら約30人が集まり、記念式典や試食会を開催。赤く実った4種のトマトを食べ比べた。敷地内では今後、太陽光発電所の建設やハウス増設を計画している。
地方創生推進交付金を活用し、事業費約1億円で整備。昨年設立した北海道おしゃまんべ(古川智之代表理事)が事業主体となり、長万部アグリ(松岡孝幸社長)が施設を管理・運営する。
ハウスの大きさは間口9m、長さ105m。山本組が施工し、1月中旬に4品種、約2300株を植え、およそ2カ月で初出荷した。栽培技術はプラントライフシステムズ(本社・横浜)が協力している。
独自開発した生体センサーで健康状態を常に見守り、育成を予測して水やりなどをコントロールする。農業経験がなくても、PCの指示を見ながら作業できる。培地はサンゴとホタテ貝殻を混合。徐々にホタテ貝殻の割合を増やし、再利用促進を図るという。
試食会の参加者からは「思っていた以上に甘い」と反応が良く、木幡正志町長は「春先は気温が低く心配したが、赤く実ったところを見られてよかった」と笑顔を見せ、新たな展開に期待した。
19年度までに事業を構築させ、経営の自立化を目指す。古川代表理事は「ここがスタートライン。長万部を元気にするため定着させ、雇用を生むことに貢献したい」と話していた。