「むかわ竜」展示棟を新設 21年度のオープン目指す

2018年04月23日 08時30分

 むかわ町は、穂別地区で昨年発掘された国内最大となるハドロサウルス科の恐竜「むかわ竜」などを収める展示棟新設を含む穂別博物館周辺エリアの再整備基本計画をまとめた。狭小で老朽化が著しい現在の穂別博物館は体験学習棟に改修するなど既存施設の機能・理念を維持しながら、「海と陸の自然史博物館」を目指す。事業手法は公共直営型、指定管理型、PFI型を比較検討する考えで、工事費は15億―21億円を想定。建設地や規模、運営手法などについて、町民の意見を踏まえ計画をまとめ、2021年度オープンを目指す。

 町が策定したまち・ひと・しごと創生総合戦略や恐竜ワールド構想の中核を担う穂別博物館(穂別80の6)は、RC造、平屋、延べ約1100m²で1982年に開設。36年が経過し、施設の老朽化が進み、むかわ竜など化石資料の収集・保存、調査・研究を継続するには狭小になっていた。既存の展示室は高さ2・8mで、体高3・8mのむかわ竜の収納展示ができない。

 新たな施設のコンセプトは「海と陸の自然史博物館―古生物の水族館・動物園をめざす―」で、子どもや家族連れを主な対象に、穂別産の化石(古生物)にこだわった地域住民の誇りとなる、古生物学の高度な研究に寄与する博物館を目指す。観覧者数は年間3万5000人を想定。

 新設する展示棟には、「むかわ竜」のほか、穂別に生息していた首長竜の化石「ホベツアラキリュウ」などを展示。博物館北側にある地球体験館のガイド機能を取り入れ、化石について多面的に学べる施設にする。

 既存の穂別博物館は体験学習棟に改修。展示機能を新設する展示棟に移し、研究・体験学習のための施設にする。かせき学習館から化石クリーニング作業を移設し、来場者が見学できるようにする。改修は躯体保護、防水強化、外壁補修、塗装、給排水、電気設備、冷暖房を予定。

 かせき学習館では、化石クリーニング作業移設でできた空きスペースを化石資料の観察場所として活用。地球体験館裏手にある芝生広場は、古生物が生息していた時代をイメージし、家族連れなどが楽しめる空間を演出する。

 町は施設の配置について、4案を提示。いずれも地球体験館を解体する。A案は体験館跡地に延べ1600m²の展示棟を建設。B案は現穂別博物館の駐車場に延べ1600m²の展示棟を建設し、体験館跡地は駐車場にする。C案とD案は施設規模をそれぞれ延べ1050m²にした。

 事業手法について、施設整備や研究機能、管理・運営、リスク・雇用、事業展開を公共直営型、指定管理型、PFI型の手法ごとに比較検討。施設整備と研究部門の運営は公共直営型で実施、研究部門を除く施設の管理・運営については指定管理型の事業手法を進める考えを示した。

 展示棟の新設や既存施設の改修などの工事費は、概算でA案とB案が約21億円、C案とD案は約15億円を見込んでいる。

 町では、施設機能の面から地球体験館跡地に展示棟を建設するA案とC案を高く評価。スケジュール案は、広く町民から意見募集した上で18年度内に配置案などを決定し、基本設計に取り掛かる。19年度に実施設計、関連工事に着手し、21年度オープンを目指している。


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