市立釧路総合病院の新棟実施設計契約解除 計画振り出しに

2018年05月23日 08時30分

 釧路市は、納期に間に合わなかった上に事業費も基本設計段階から大幅に膨らむ見通しとなっていた、市立釧路総合病院新棟建設の実施設計業務を契約解除した。業者側には、支払い済みの実施設計費などのほか違約金の支払いを求めている。基本設計から発注し直すことが濃厚だが、具体的には6月の定例市議会で方向性を示す方針だ。

 新棟の設計は、基本と実施合わせて2015年度に公募型プロポーザルで発注。同9月に東京と市内の建築設計事務所で構成する特定共同体と契約した。契約金額は3億3696万円、履行期限は18年3月23日だった。

 16年9月に完了した基本設計では、新棟の規模を延べ3万7400m²、事業費を約172億円とする成果品を提出。実施設計に移行した。

 その後、概算事業費が膨らむとの連絡が共同体側から入り、市と共同体が協議。事業費は約179億円、延べ面積は3万8859m²とすることで合意し、18年2月末までに事業費の根拠となる資料などを提出することも約束した。

 しかし共同体側は資料提出をじわじわと先送り。納期にも間に合わず、3月26日に「設計書らしきもの」(市担当者)は届いたが、合意事業費を67億円も上回り、図面や書類などの整合性もないものだった。市は庁内調整などを経た上、2日付で契約解除通知書を送付した。

 共同体側は事業費を圧縮していく作業で市との認識が違っていた、工事費減額のための検討時間が十分に確保できなかった、などと遅れの要因を説明しているという。

 実施設計費の返還額は1億411万1636円に利息を付した額で、違約金は3369万6000円に上る。

 契約管理課は、倒産などでの契約解除はあるが、今回のようなケースは極めて異例としている。2社とも18日から、東京の事務所は6カ月、市内の事務所は1カ月の指名停止となっている。


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