おとなの養生訓

おとなの養生訓 第137回「そばののど越し」 少し噛んでのみ込む?

2018年06月08日 08時00分

 世の中には、そば通を自任している人がたくさんいます。昼食に必ずそばを選ぶビジネスマンも周りにたくさん見かけます。かく言う私も、そばには目がないほうで、行きつけのそば屋さんがありますし、出張先などで昼食をとるときも、そばを選ぶことが多いのです。

 そんな、大人気であるそばのおいしさを見極める着眼点というものがあります。まず、香りです。そば通は事のほかそばの香りを大事にします。だから、香りが失われないよう、そばは「挽きたて、打ちたて、ゆでたて」の三つを重視するのだとか。とにかく、そば粉を挽いてから、香りがどんどん失われるので、素早くそばに仕立てなければならないのです。

 歯ごたえを重視する人も多いですね。固めでごつごつ感のある太目の田舎そばが人気です。どうもそばは柔らかいのはいけないようです。確かにゆですぎたそばは始末に悪いものです。

 そして、そばといえば何といっても「のど越し」と、断言する人の多いことか。そばののど越しとは、どういうことでしょうか?本来、のど越しとは、のどを飲食物が通過していく様を感じ取ることであるといわれます。

 そばののど越しが良いというのは、長いそばが滑らかにのどを通過していくこと、というわけです。うーん、言いたいことは分かるのですが、どうも腑に落ちません。そばののど越しの良さが、その滑らかさにあるのなら、そばを丸のみにしていることになるからです。

 でも、さすがにそばを噛まずに丸のみにしてすすっている人にお目にかかることはありませんよね。それに、丸のみにしたら、そばの味そのものを感じることができなくなります。これはこれでもったいない。

 のど越しを強調する人は、そばを少し噛んで、のみ込めるくらいになったら、すぐさまのど越しを楽しんでいるのでしょうか?人気の田舎そばでこれをすると、のみ込みにくくて、あまり楽しめないと思うのは私だけでしょうか?

 私がそばを楽しむときは、それなりに噛んで、味わいを感じるようにしています。新そばの上物は、噛みしめると、さわやかな甘みが口の中に広がり、もり汁が必要ないほどです。そうでなくても、そばの風味ともり汁の味わいが混然となり引き立てあうのは、噛みしめなければ引き出せません。そばののど越し、あまり気にしていません。皆さんはどうですか?

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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