おとなの養生訓

おとなの養生訓 第138回「寝だめ」 睡眠「貯金」はできない

2018年06月22日 08時00分

 明日は日曜日、久しぶりに家でゆっくりできるので、寝坊しようと考えます。来週もいろいろ忙しく、睡眠も十分にはとれそうもないので、寝だめだ…。翌朝、10時ごろにようやく目が覚めます。よく寝た感じがあり、何か得した気分。これで月曜日から頑張れそうです。ところが、月曜、火曜と仕事などが立て込んで、睡眠時間が4、5時間のことが続きます。やはり目覚めは悪く、もっと眠っていたい気持ちが残ります。日曜日に寝だめしたはずなのに…。

 結論を言うと、寝だめはできません。事前にいくら眠っても、毎晩、適切な時間の睡眠をとらないと、寝不足の状態になるということです。そもそも睡眠はなぜ必要なのかというと、脳を休ませるためです。一日中使い続けた脳には、相当な疲労が蓄積していると考えられます。

 ですので、徹夜をすると、次第に集中力を失い、作業の効率はおちてしまい、作業のミスや、文章の間違い、言い間違いなどが多くなります。この脳の疲労は睡眠によってのみ、取り除くことができると考えられます。事前にいくら睡眠をとっても、その後目が覚めている間に、脳には確実に疲労がたまるので、毎日睡眠は必要だということです。

 では、どのくらいの睡眠時間が適切なのかというと、これに非常に大きな個人差があります。毎日、3、4時間で十分な人もいれば、8時間、9時間と眠らないと、体調がすぐれない人もいます。日本人の平均睡眠時間は7・5時間程度とされていますが、これは、毎日、仕事、家事などをこなした上での時間ですので、必要な睡眠時間はもう少し長い可能性があります。

 一方、睡眠不足とは、脳の疲労が取り切れない状態をさします。こうした脳の疲労は蓄積する危険性があり、睡眠負債と呼ばれます。つまり慢性的な睡眠不足は、脳に疲労がたまって、体調に悪影響を及ぼすのです。最悪の場合、うつ病やがん、認知症の原因となりうることも指摘されています。

 残念ながら、睡眠は「借金」はすぐにたまるけど、「貯金」できないという、実に厄介な代物なのです。寝だめは生体リズムの乱れを起こし、次の夜に眠気が出にくくなり、寝付けなくなって、かえって寝不足になることも指摘されています。やはり休日であっても、規則正しい生活が基本なのです。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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