積丹ジン蒸留所整備を 民主導の地方創生成功目指す

2018年06月26日 18時08分

 積丹町が、地方創生の一環として開発に取り組む蒸留酒ジン。早ければ2020年春にも積丹町に自生する樹種で香り付けした小規模蒸留所製のクラフトジンが生産される。蒸留所の整備・運営を目的に設立した積丹スピリットの岩井宏文代表に、クラフトジンの可能性を聞いた。(小樽支社 小田 真沙樹記者)

 ―積丹スピリット設立の経緯とこれまでの取り組みは。

 食と農のコーディネート企業として3年前に積丹町から遊休農地利活用構想の策定を受託し、まとめた冊子の中で木育ファミリー代表運営委員の煙山泰子さんが、地域資源を生かした積丹ジンの開発を提唱したのがきっかけ。

積丹スピリット代表 岩井宏文氏

 半島地形の積丹地方は原料になる樹種が凝縮し、札幌市やニセコエリアへのアクセスも良好。開発・研究の過程で、ワイン醸造設備供給のマザーバインズ社、東京都内でジンバーを経営する鹿山博康氏、森林を熟知する植生のプロとメンバーもそろった。町とメンバーで原料、施設、製造方法、資金調達の方向性を確認し、3月に会社を設立した。現在は、資金と人材の確保という段階にきている。

 ―クラフトジンの魅力と商機は。

 クラフトジンは北海道や積丹町の植生を表現する媒体。世界的にも人気が高く、国内でもハイアルコールが流行しており、国内外で商機があると分析している。

 ジンが生み出す産業として原料栽培、乾燥工程、蒸留、レストランやバーなどがある。ジンの本場スコットランドのアイラ島では、香り付けに使うボタニカルのツアーが予約を取れないほど人気。ジンは、地方から世界に発信できる数少ないツールで、国際的な展覧会に参加できるのも魅力だ。

 ―積丹ジンの特長は。

 コアボタニカルは輸入だが、町内で採れるアカエゾマツの新芽やミヤマビャクシンなど、香りの良いボタニカルを使用する。単品フレーバーを5種類程度、フレーバーをブレンドしたオリジナル、余市町などの果物を使ったジンリキュール、アブサンを生産する。

 蒸留所の名前はDistillery Shakotan Blue(ディスティラリーは蒸留所の意味)で、蒸留所の建設地も積丹ブルーを一望できる土地で構想している。着工は19年春で、竣工は同年11月。20年春にはクラフトジンをリリースできる見込み。

 ―現在の取り組み状況は。

 最大の課題はお金と人。酒造免許の相談を税務署としており、これから蒸留技術者を募集する。

 資金は市民出資型を徹底したい。必要資金は、初期投資額で1億3000万円ほど。発起人の出資額、町民や積丹町のファン、ジン造りに興味を持っている人からの出資、国や道などの補助事業、ふるさと納税型クラウドファンディングの活用、銀行からの融資などを組み合わせるが、ベースは町民や積丹町のファンの出資。

 ―今後の展望と目標は。

 ジンと地元食材とのコラボレーションが一つの文化となり、新たな人材を吸い寄せるようになれば、事業として大成功。最終的に、東京都内にも積丹ジンの蒸留所を建設できるぐらいの勢いを生み出したい。

 地方創生の一環で、官民連携の位置付けであるにもかかわらず、今回は第三セクターではなく、民間主導で進めている。自治体が出資しないため、資金集めは難しくなるが、さまざまな制約が発生せず、民間の感性をフルに活用できる。官民連携でスタートし、民間が作り上げ、官が生かしていくのが、本事業における官民連携の形。積丹町が与えてくれたチャレンジできるステージ。成功という形で恩返しできれば。

 岩井 宏文(いわい・ひろふみ)1969年8月5日生まれ、仙台市出身。95年3月北大大学院工学研究科を修了。北海道開発コンサルタント(現ドーコン)、道農業企業化研究所を経て、11年GB産業化設計を設立した。

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