伊藤組土建が燃料電池の実証実験を公開

2018年07月02日 08時00分

 伊藤組土建(本社・札幌)は6月28日、南幌町内の現場事務所で取り組んでいる燃料電池の実証試験を公開した。気体の水素を約500分の1の液体に変換する「有機ハイドライド方式」を活用したシステム。フレイン・エナジー(同)が開発した発電ユニットを仮設事務所のそばに置き、水素から電力を作り事務所内の照明やパソコン用電源に使っている。今後は、札幌市や北広島市内に装置を移し、同様のフィールド実験を7月いっぱい続ける。

脱水素装置と制御盤、燃料電池をコンテナ内に収容する

 発電ユニットは脱水素装置と制御盤、燃料電池で構成し、12㌳のコンテナ内に一式で収めている。1日当たり最大20㌔㍗時の電力を作ることが可能。コンテナ型のため、クレーン付きトラックなどで簡単に移送することができる。

 液体のトルエンに水素を添加したメチルシクロヘキサン(MCH)を工場から現場事務所へ輸送。発電ユニットの装置を使ってMCHから水素を取り出した後、燃料電池で空気中の酸素と化学反応させて発電する仕組みだ。

 MCHは修正液の原料などに使われ、毒性が低い。消防法ではガソリンと同じ危険物第4類・第1石油類に該当していて、貯蔵や輸送がしやすい。

 MCHを製造する技術は有機ハイドライド方式と呼ばれ、気体の水素を約500分の1の液体に変えられる。常温・常圧なので扱いやすく、貯蔵タンクを小さくできるメリットを持つ。フレイン・エナジーは水素をMCHに変換したり、MCHから水素を取り出す触媒技術で強みを持つ。

 発電ユニット内に収まるMCHタンクは容量40㍑で、水素2万㍑分を収納している計算。発電ユニットのコンパクト化に大きく貢献している。設置が容易で汎用(はんよう)性が高いため、「建設現場での活用が期待できる」(伊藤組土建土木部の成田光由紀課長)という。

 実証試験は、北海道開発局が中心となって2015年に設立した産学官連携の北海道水素地域づくりプラットフォームがきっかけ。会員の伊藤組土建とフレイン・エナジーが提案し、札幌開建から受注した「晩翠遊水地晩翠樋門周囲堤ほか」の現場事務所で取り入れることにした。

 今後は札幌市内定山渓温泉の現場事務所に移し、同様のフィールド実証を進める方針。7月後半は北広島市内でも実証試験を計画している。

 フレイン・エナジーの小池田章社長は「有機ハイドライドは水素だけでなく熱利用もでき、各地域が抱える資源をつなぐことのできる技術」と優位性を強調。伊藤組土建の阪豊彦常務は「実証試験を通し、さまざまな人が水素社会をより身近に感じてもらえれば」と話している。


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