旭川開建は6月29日、国内最北端の直轄ダムとなる下川町内のサンルダムで試験湛水(たんすい)に着手した。冬ごろのサーチャージ水位到達を目指し、堤体や地盤、地山の安全性を確認する。同日、ダム管理棟で開いた湛水式には旭川開建職員や施工業者、地権者ら30人余りが集まり、困難を乗り越えて完成に向け一歩前進したことを祝うとともに、試験を無事に終えられるよう願った。
堤高46m、堤頂長350m、堤体積49万5000m³の台形CSGダムとして名寄川支川のサンル川に建設されたサンルダムは、洪水調整や流水の正常な機能の維持、水道用水の採取、発電など多様な機能を担う。総貯水量は5720万m³、総事業費は約591億円。2009年に当時の民主党政権が本体工事を凍結した経緯がある。
湛水式では旭川開建の樺澤孝人部長が「治水防災対策や河川環境向上につなげ、天塩川流域の発展に大きく貢献できる」と事業の意義を説明。下川町の谷一之町長は「工事凍結で苦汁をなめた時期もあった。これからはダム周辺の活用を考えていきたい」と観光資源としての役割を期待し、名寄市の加藤剛士市長は「06年の合併後、いまだに水質の安定しない地下水に頼る風連地区にも水を供給できる。住民待望のダムだ」と喜びを示した。
その後、新たに誕生するダム湖名を一般公募した結果、「しもかわ珊瑠(さんる)湖」に決めたと発表。続いて関係者らがボタンを押して堤体下部のゲートを閉塞(へいそく)し、万歳三唱で試験開始を祝った。今後は試験湛水と並行して堤体天端舗装などの工事を進め、19年度の供用開始に向けた最終仕上げに取り組む計画だ。(旭川)