日高管内の基幹産業である林業で若年者の就業を促そうと、日高森づくり協同組合とひだか南森林組合が浦河高2年生のインターンシップに協力した。男女3人の生徒が参加し、実際に現場へ入って森林整備を体験。初めて触れる機械や道具に戸惑いながらも、林業の仕組みや役割を熱心に学び取っていた。
同校では職業への理解を深めるため、地域の企業などでインターンシップを展開。これまでは鬼頭木材工業(苫小牧)様似工場が単独で受け入れていたが今回は同社と共に日高森づくり協組を構成する津田組(浦河)、ホリタ(広尾)と、ひだか南森林組合(様似)も賛同。6月20日から22日に各社の現場で実施し、日高振興局森林室と様似町も協力した。
体験したのは、1次産業への就職を希望する菅藤竜海君と梅津莉空君、教育関係を目指している吉津日南子さん。
初日は森林組合本所でオリエンテーションや木質チップ工場見学の後、様似町平宇地区にある森林組合所有林や民有林で造林を体験した。生徒たちは必要に応じてヘルメットや防護チャップスなどを着用し、植え付け、下刈り、枝打ち、除伐の4工程に取り組んだ。
森林組合や森林室の職員から「植えるときは苗を引っ張りながら足で土を踏み固めて」「枝打ちでは枝座を残して」とアドバイスを受けながら、生徒たちは真剣なまなざしで作業に挑戦。林業は機械化が難しい工程が多く、樹木に対するケアの重要性を強く感じていた。また、何本もの枝が巻き付けられている幹に関心が集まり、シカの角研ぎで樹皮が損傷するのを防ぐ「枝条巻き」も学んだ。
菅藤君は「林業は山で木を切るイメージだったが、植えて育てたり雑草を刈ったりして奥が深い」、梅津君は「チップ工場で木材をバイオ燃料にしていることが分かった」と学習。吉津さんは「職員が林業を楽しんでいたのが印象的」と振り返った。2日目からは、魚箱の製造やチェーンソーの操作、ドローンも活用した測量などを体験した。
林業者でタッグを組んだ受け入れは初の試みだったが、日に日に高まった生徒たちの意欲に森林室は好印象。えりも町内に国有林もあるため今後は国とも連携したい考えで、インターンシップのさらなる充実を図りたいとしている。(苫小牧)