おとなの養生訓

おとなの養生訓 第139回「汗は臭くない」 皮膚表面の細菌が犯人

2018年07月13日 08時00分

 暑い日が続くようになると、いつも汗をかいているようになります。汗が流れ落ちたり、汗が体にまとわりついたりするようになり、実に不快なものです。そして、汗のにおいが気になりだします。汗臭い状態は周りにも迷惑をかけそうな気がして、なるべく早くシャワーで流してしまいたくなるものです。

 ところで汗のにおいって何でしょうか?酸っぱいような、つんと来る感じのにおいのことをさしていることが多いようです。アンモニアに似たにおいである場合も多いようです。でも、実は人間が分泌する汗は全くにおいのしないものであることが分かっています。無臭である汗がにおうということはどういうことでしょうか?犯人は皮膚の表面に住み着いている細菌たちです。

 私たちの皮膚にはたくさんの種類の細菌が一面に住み着いています。体を洗うと細菌の数は相当に減るのですが、根絶やしにはならず、時間を置くとどんどん増殖して、元の状態に戻っていきます。そこで、常に細菌が存在しているとみなせるので、常在細菌と呼んでいます。

 常在細菌は住み着いているだけで、人には全く害を及ぼすものではありません。しかし、汗をかいて汗の成分が皮膚の上に残ると、それに汚れや皮脂と一緒になります。これが常在細菌の餌となり、分解されて様々な物質が作られます。

 この細菌が作った物質の中ににおいを生じるものがあるのです。代表的なのはアンモニアです。汗がアンモニアのようなにおいがするのは常在細菌がアンモニアを作り出すからなのです。汗自体にはアンモニアは含まれていないのです。

 汗をかいて、それを放置していると常在細菌のせいで、においが生じ始めます。ですから、汗をかいたら、なるべく早く除去するのが得策です。といっても、頻繁にシャワーを浴びるわけにもいきません。そこで、こまめに汗を拭きとるのが得策でしょう。

 最近は便利なウエットティッシュがありますので、これを使うのがいいでしょう。ウエットティッシュの水分は常在細菌の餌になりませんから、においを生じる恐れはなく、水分の蒸発で汗の代わりに体を冷やしてくれますので、効果的です。

 汗臭くなりやすいのは体質のせいとあきらめている人がいたら、それは誤解で、改善の余地があると知ってほしいと思います。汗は臭くないのですから。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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