北海道の名物の一つで、ビジネスマンのお昼の友であるラーメン。いや、ラーメンが嫌いな人はほとんどいないのではないか、と推測できるほどの国民食となっています。ところが、ラーメンは一方で悪いイメージが付きまとっています。
高カロリー、高脂肪、炭水化物過多、塩分過多…。まるで、生活習慣病の元凶、健康の敵であるような言われ方です。おかげで、ラーメンを食べるときには、どこか後ろ暗い気持ちになります。タブーを犯すような具合の悪さです。でも、それを感じつつも、手が出る。そんな魅力があるのも間違いありません。
では、冷静にラーメンを栄養学的に見直してみましょう。もちろん、もはやラーメンは1種類ではなく、味、材料、分量ともバラエティーに富んでいますので、一概には言えないのですが、標準的といわれるラーメンを想定して考えてみます。
ラーメン一杯の総カロリーは500から600㌔㌍です。これは意外と少ない量といえます。カレーライスと同じ程度ですし、健康的といわれる和定食でも500㌔㌍ぐらいです。お昼をラーメン一杯で、というのは決して悪いことではありません。ただ、ラーメンライスになると合計で900から1000㌔㌍になるので、これは避けましょう。締めのラーメンが良くない理由は、シンプルに1日4食目であるということです。
脂肪の量は焼豚や背脂がたっぷりでなければ、それほど多いものではないことが分かっています。それよりは、やや炭水化物が多めになるというところが問題ですが、パスタやうどんに比べるとさほどの量ではないようです。
ラーメンは栄養バランスの悪さが指摘されています。つまり野菜が足りないということですが、それは昔からの焼豚、ザーサイ、なるとが載ったラーメンのことで、わが札幌ラーメンはもやしたっぷり、ネギもどんと載っていますのであまり心配ありません。
おそらく、一番の問題は、一杯で7、8㌘にもなる塩分でしょう。高血圧との関係でいうと塩分は1日10㌘以下、いや8㌘程度といわれているので、ラーメン一杯で1日量になってしまうからです。対策は、スープを飲み干さないこと。スープがうまいのはよく分かっているのですが、ここは我慢です。今はやりのつけ麺なら、加減できますので、お勧めかも。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)